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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜

作者:カエサル
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ALO編ーフェアリィ・ダンス編ー
  17.世界樹への一歩

 
前書き
第17話投稿!!!

リーファ案内で向う世界樹!!!
その前にいろいろと事件が!? 

 


昼間で日差しがほのかに暖かいがまだ外はまだ寒い。そんな中で竹刀を振るう。

「.........やっぱり軽いな」

二ヶ月ぶりの感覚だった。
あの重み、あの感覚.........
あの世界で片手剣を振るう感覚........

俺は竹刀を振るい続ける。

ふと時計をみると、時刻は二時少しすぎを指す。

「もうそろそろか.......」

クセなのか慣れなのかわからないがいつものように竹刀を払うように振り、背中の存在しない鞘に戻す。まぁ、実際に鞘はないためもう一度掴み、戻す。

家に戻り、軽くシャワーを浴びて、自分の部屋に向かう。ベットの上に置かれるナーヴギア。電源をいれ、それをかぶる。

(アスナを助けに.......!!)

「リンクスタート!!」




シルフ領・スイルベーン 二〇二五年一月二十一日

昨日の酒場に入るともうキリトとリーファが待っていた。

「悪い、待ったか、二人とも?」

「いや、大丈夫だ」

「あたしもさっき来たところだから。ちょっと買い物もしてたし」

「あっ、そっか。俺たちも準備しないとな。この装備じゃ頼りないし」

「それもそうだな」

今の俺とキリトの装備は初期装備。唯一違うのは、俺が持ってる槍、《月音の槍》くらいだ。

「それなら武器屋行こっか。お金どのくらい持ってるの?」

メニューウインドウを開き、金を確認する。

「........このユルドってやつがそうだっけ?」

「うん」

俺とキリトは、言葉を失う。そういえばこれはSAOの俺のデータ。つまり、金も引き継がれている。........つまりは......

「ほら、行くぞ、ユイ」

キリトが胸ポケットで眠るユイを起こす。

「どうしたの?」

リーファが不思議そうに聞く。

「まぁ、気にするな」




俺たちは、武器屋へと行き武器と買う。キリトは背中を覆うほど大きい大剣、俺は初期装備と同じような長さの黒い片手用直剣を購入。俺とキリトだけで武器屋を結構悩ませたけどな。

武器屋で武器を揃えたのちにリーファに連れられて来られたのは、白の塔。

「なんで塔に?」

「ああ、長距離を飛ぶ時は塔のてっぺんから出発するのよ。高度がかせげるから」

「なるほどな」

でも、この塔は俺が激突した忌まわしい塔。キリトを見るとキリトも少し引きつった顔をしていた。そういえばキリトもこの塔に激突したんだっけ。

「さ、行こ!夜までに森は抜けておきたいね」

リーファが俺とキリトの背中を押しながら塔の中へと入って行く。

塔の中は、やはりシルフだらけだ。俺のインプとキリトのスプリガンの黒が異常なまでに目立つ。

「こっちこっち」

リーファに引っ張られ中央のエレベーターのような場所に向かう。

「リーファ!」

男の声がし、振り返るとそこには大きな背丈に男っぽく整った顔立ち、体には銀のアーマーと緑のマント、額には銀のバンドを巻き、波打つ濃緑の髪を肩下まで垂らしている。二人の男と女のシルフのプレーヤーがいた。

「こんにちは、シグルド」

「パーティーから抜ける気なのか、リーファ」

「うん、まあね」

「残りのメンバーに迷惑がかかるとは思わないか」

「パーティーに参加するのは都合のつく時だけでいつでも抜けていいって約束だったでしょ?」

「だが、お前は俺のパーティーの一員としてすでに名が通っている。理由もなく抜けてもらってはこちらのメンツに関わる」

その言葉に俺が動こうとすると隣の少年の声に足を止める。

「........仲間はアイテムじゃないぜ」

キリトが前に出て、濃緑の髪の男。たしかシグルドとかいう男の元へ向かう。

「なんだと?」

「他のプレーヤーをあんたの大事な剣や鎧みたいに装備にロックしておくことは出来ないって言ったのさ」

「貴様!クズあさりのスプリガン風情がつけあがるな!」

シグルドが腰にある剣の束に手をかける。

「どうせ領地を追放された《レネゲイド》だろ!」

「失礼なこと言わないで、キリトくんはあたしの新しいパートナーよ」

「なに!リーファ!お前も領地を捨ててレネゲイドになる気か!?」

「........ええ、そうよ。あたしここを出るわ」

リーファの言葉にシグルドがついに剣を抜く。

「........小虫が這い回るくらいは捨て置こうと思ったが、泥棒の真似事とは調子に乗りすぎたな!!ノコノコと他種族の領地まで侵入してくるということは切られる覚悟はあるんだよな」

(この男、つくづく腐ってやがる!!)

俺は一歩一歩前に出て、シグルドに近づく。

「.......シュウくん?」

「ちょっとどいてくれ、キリト」

キリトは何も言わず、俺が行くのを止めることなくその場から退く。

「なんだ、貴様もこの男の仲間か!!」

「........腐ってんなテメェは......」

「なんだと.......もう一度言ってみろ!!」

シグルドが剣を完全に俺の方に向け構える。

「剣を構えったってことは、もうあとには引けねぇぞ!!」

俺も背中に背負われた槍を抜く。

「シュウくん、なにする気!!」

「ちょっとな.......心配すんな」

顔だけをリーファに向ける。心配そうにこちらを見ているが、微笑みかける。その表情を一転し、敵を見るような眼で再び、シグルドに顔を向ける。

「だいたい、その程度でお前らのメンツが関わるようだったら........お前もその程度ってことだ」

「貴様!!!」

シグルドがついに剣を振るった。
その行動はシルフ領という圏内で他種族を攻撃を行った。それが意味するのは、無抵抗の相手への安全圏からの攻撃。

「シュウくん!!」

少女の声が響く。シグルドが振り下ろした剣を少し横に避け、槍がシグルドの首もとに当たる寸前で止める。

「き、貴様.......」

「領内と言っても、HPが減らないだけで痛覚自体はあるんだろ」

圏内といえどそこはSAOと変わらないはずだ。シグルドの動きが止まり、一拍おいてから剣を鞘に戻す。俺も少し間を明けてから槍を背負い直す。

「ちっ!外ではせいぜい逃げ隠れろよ、リーファ。お前は必ずそのうち後悔することになる」

シグルドはそう言い残し、塔から出て行った。

「もうくんじゃねぇよ、バーカ」

塔の出口めがけて軽く罵る。

「もう〜、なんて無茶なことするの!!」

後方からリーファが俺に対して怒ってくる。

「悪かったって、あいつの態度にムカついて.......つい」

「ついじゃないよ!!でも、ゴメンね。みょうなことに巻き込んじゃって」

次にリーファは、謝るように言う。

「しかし、いいのか?領地を捨てるって」

「あー.........」

リーファは回答に困ったのか、俺の背中を押しながら塔のエレベーターに向かう。キリトもそれについてくる。

塔のてっぺんは見晴らしがよく、すごい光景が広がる。風が通り、目の前に青い空、緑の芝、大きな山々が広がるまさに自然そのものの光景が広がる。

「すごい眺めだ。空が近い.......手が届きそうだな」

「でしょ。この空を見てると、ちっちゃく見えるでしょ、いろんなことが」

リーファが空に手を伸ばす。

「........いいきっかけだった。いつかここを出て行こうと思ってた」

「そうか.......」

「でも、なんか喧嘩別れみたいになっちゃってゴメンな」

「どっちにしろ穏便には抜けられなかったよ」

「なぁ、レネゲイドって?」

キリトが疑問を出す。

「領地を捨てたプレーヤーはレネゲイド。......つまり、脱領者って呼ばれて蔑まれているのよ」

「いいのか?」

「うん、それはいいんだけど」

リーファが少し空を見上げながら言う。

「......なんで、ああやって、縛ったり縛られたりしたがるのかな.......。せっかく、翅があるのにね......」

その表情は少し悲しげに見えた。

「フクザツですね、人間は。ヒトを求める心を、あんなふうにややこしく表現する理由が理解できません」

キリトの胸ポケットからユイが姿を現し、キリトの肩に止まる。

「求める......?」

「わたしならこうします」

そういいながらユイはキリトの頬にキスをする。

「とてもシンプルで明確です」

「す、すごいAIね。プライベートピクシーってみんなそうなの?」

「こいつは特になんだよ」

キリトは少し照れながらユイを胸ポケットにしまう。

「そ、そうなんだ。.......人を求める心、かぁ......」

俺たちが出発しようと後ろのエレベーターから甲高い声が聞こえる。

「リーファちゃん!」

「あっ、レコン」

「ひどいよ」

レコンがこちらに走ってくる。

「一言声かけてから出発してもいいじゃない」

「ごめーん、忘れてた」

レコンはがっくしと肩を落とす。

「リーファちゃん、パーティー抜けたんだって?」

「ん.......。その場の勢い半分だけどね。あんたはどうするの?」

「決まってるじゃない、この剣はリーファちゃんだけに捧げてるんだから......」

レコンが腰の短剣を抜き、上に掲げる。

「えー、別にいらない」

レコンが再び肩を落とす。

「ま、まあそういうわけだから当然僕もついていくよ.....って言いたいとこだけど、ちょっと気になることがあるんだよね......」

「.......なに?」

「まだ確証はないんだけど......少し調べたいから、僕はシグルドにパーティーに残るよ。ーーシュウさん、キリトさん」

レコンが真面目な表情でこちらを向く。

「彼女、トラブルに飛び込んでくクセがあるんで、気をつけてくださいね」

「あ、ああ。わかった」

「了解した」

「それから、言っておきますけど彼女は僕の.....ンギャッ!」

リーファがレコンの足をおもいっきり踏みつける。

「しばらく中立域にいると思うから、何かあったらメールでね!」

リーファは翅を出し飛び立つ。俺たちもそれを追うように飛び立つ。

「彼、リアルでも友達なんだって?」

「.......まあ、一応」

「「ふうん〜」」

「......何よ、二人揃って、そのふうん〜ってのは」

「いやあ、いいなと思ってさ」

「いいよな.......そういうの」

キリトの胸ポケットからユイが顔を出す。

「あの人の感情は理解できます。好きなんですね、リーファさんのこと。リーファさんはどうなんですか?」

「し、知らないわよ!!」

大きな声で叫び、顔を赤くし、少し加速する。
リーファは少し悲しげな顔をするが俺の顔とキリトの顔を見ると笑顔に戻る。

「さ、急ごう!一回の飛行であの湖まで行くよ!」



中立域・古森 二〇二五年一月二十一日

俺たちは羽の生えた大トカゲ《イビルグランサー》を三匹、空中で相手している。

俺が一匹、キリトが一匹倒すと一匹が逃げる。それをリーファが魔法の光の矢を飛ばし撃退。

「おつかれー」

「援護サンキュー」

キリト、リーファがぱしんと手のひらを打ち付け合う。

「そろそろ翼が限界だわ。一度下に降りよっか」

「「おう」」

一度地上に降りる。

「疲れた」

「いや、まだまだいけるよ」

「おっ、頑張るわね、っと言いたいところだけど、空の旅はしばらくお預けよ」

「えー、なんで?」

キリトが子供のような声を出す。

「見えるでしょ、あの山」

リーファが森から見える大きな山を指す。

「あれが飛行限界高度よりも高いせいで山越えには洞窟を抜けないといけないの。シルフ領からアルンへ向かう一番の難所らしいわ。あたしもここからは初めてなのよ」

「なるほどね.....洞窟か。長いの?」

「途中に中立の鉱山としがあるらしけど、キリトくん、シュウくん、今日はまだ時間大丈夫?」

「リアルだと夜七時か、俺は当分平気だよ」

「俺も別に問題ないよ」

「そう、じゃあもう少し頑張ろう。それじゃあ、ここで一回ローテアウトしよっか」

「ろ、ローテ?」

「何だそりゃ?」

「ああ、交代でログアウト休憩することだよ。中立地帯だから直落ちできないの。だから、変わりばんこに落ちて残った人が空っぽのアバターを守るのよ」

「なるほどな、了解、リーファからどうぞ」

「それじゃあ、お言葉に甘えて二十分ほどよろしく」

リーファがログアウトし、体が動かなくなる。リーファの意識がないことを確認しキリトと話す。

「なあ、キリト」

「何だよ、シュウ」

「どうして、リーファは俺たちを助けてくれるんだと思う?」

「さぁな.........」

さらっとした言葉でキリトは流す。

「まぁ、考えてもしゃあないか」

二十分後。

「お待たせ、モンスターとか出なかった?」

「おかえり、静かなもんだったよ」

「静かすぎて退屈だったよ。それじゃあ、今度は俺たちが落ちる番か」

「いってらっしゃい」

俺とキリトは同時に落ちる。




目を開けると見慣れた天井が広がる。この世界でも、考えてしまう。

なぜ、リーファが俺たちを助けてくれるのか?
領地を捨ててまで俺たちを助けてくれるのか理由がない。世界樹に行くのだけで大変だということはわかった。それなのにリーファは俺とキリトにアスナへと繋がる道を導いてくれる。

(.......なぜなんだ)

「.......まぁ、考えてもしゃあないか。いつか本人に聞けばいいだろ」

俺はベットから起き上がり、一階に降り、軽く飯を済ませ再び仮想世界へダイブする。




俺がもう一度ダイブするとリーファが顔を赤くしてキリトと話している光景が目の前に映る。

「それじゃあ、早く行きましょ」

俺たちは翅を出現させる。

「それじゃあ、行くか。......ん?」

何処かから誰かの視線を感じる。

「どうかしたの?」

「いや、なんか誰かに見られた気が」

「キリトも感じたのか」

「ユイ、近くにプレーヤーはいるか?」

「いいえ、反応はありません」

プレーヤーがいるなら俺の索敵スキルで捜せないわけがない。

「うーん、ひょっとしたらトレーサーが付いてるのかも......」

「それなに?」

「追跡魔法よ。大概ちっちゃい使い魔の姿で術者に対象の位置を教えるの」

「解除とかできないのか?」

「トレーサーを見つけられれば可能だけど、術者の魔法スキルが高いと対象との間に取れる距離も増えるからこんなフィールドだとほとんど不可能ね」

「そうか、まぁ、気のせいかもしれないしな。とりあえず先を急ごうぜ」

「うん」

俺たちは再び翅を広げ羽ばたいた。


 
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