神々の塔

「人の上に立つとされるだけあるわ」
「それでやねんね」
「ほんま棟梁になって」
　十星連合のというのだ。
「私等の軸に立ってことをやってくれて」
「ええんやね」
「今思うとな」
　まさにという言葉だった。
「私等の棟梁は」
「うちなん」
「綾乃ちゃん以外おらんわ」
　こう本人に言った。
「もうな」
「そうなんやね」
「戦闘に政もやし器がな」
「それがなん」
「将の将たる器っていうけど」
　韓信が劉邦に言った言葉だ、彼が皇帝に慣れたのはそうした人物であったからだという意味での言葉とされている。
「綾乃ちゃんはな」
「その器なんやね」
「そや、ほんまにな」
「将の将たる」
「そうした人や」
「それでうちが棟梁やと」
「そやな、僕もそう思ったさかいな」
　この中では綾乃と最も古くからいる芥川も言ってきた。
「大坂におった時にな」
「うちとどうしてくか」
「そう考えてな」
　それでというのだ。
「綾乃ちゃんが棟梁でな」
「一緒にやっていった方がええとやね」
「思ったさかいな」
「あの時うちと太宰君とやね」
「一緒にやってくことにしたんや」
　綾乃を棟梁にしてというのだ。
「そう決めたんや」
「そやねんね」
「そしてな」　　
　芥川はさらに話した。
「今もな」
「一緒にいてくれるんやね」
「そや」
　まさにと言うのだった。
「綾乃ちゃんを棟梁にしてな」
「お友達としてやね」
「そや、友達や」
　芥川は綾乃の今の友達という言葉に笑顔で応えた、そのうえで彼女に対してこう言ったのであった。
「僕等、この十人だけやなくて」
「星の皆は」
「それでこの世界の人等もな」
「傷があって」
「それが友達のやったらな」
　それならというのだ。
「どの人もな」
「お友達やね」
「そや、友達は何か」
「絆がある人やね」
「これは僕の考えやけど」
　こう前置きしてだ、芥川は話した。
「友達ってのはお互いが生きてるうちははっきりとはな」
「はっきりとは？」
「わからんもんちゃうか」
　こう言うのだった。
「こっちが友達と思ってても」
「相手の人がどう思うか」
「そや、両方思ってると友達か」
「それはちゃうん？」
「どうやろな、友達ってのはな」
　この関係はというのだ。