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X ーthe another storyー

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第十五話 仮住その十一

「私達はね」
「わい等と同じでんな」
「そうなるわね、ただね」
「今は止めましょう」
 どちらにしてもとだ、嵐は言った。
「お互いにね」
「そのつもりはないわ」
 全くとだ、庚も答えた。
「こちらもね」
「それならいいけれど」
「焼肉を楽しみましょう」
 今はと言うのだった。
「それぞれね」
「ええ、ではね」
「それではね」
「また会いましょう」
「ではね」
「それで今言っておくわ」
 ここでだった。
 庚は一瞬だが真剣な顔になってだ、天の龍達に言った。
「姉さんは元気かしら」
「はい、ご安心下さい」 
 征一狼が応えた、ここにいる誰も庚の心には気付かなかった。彼もそれは同じで彼女に裏なく答えた。
「そう、元気なのね」
「はい」
 そうだと答えるのだった。
「今も」
「ならいいわ、元気ならね」
 丁、姉である彼女がというのだ。
「それならね」
「そうですか」
「ええ、ではまた」
「はい、お会いしましょう」
 こうやり取りをしてだった。
 双方別れそれぞれの席に着いてだった。 
 焼き肉を食べはじめた、護刃はその中で言った。
「あの、どの人も」
「悪い印象は受けなかったわね」
「そうですね」
 火煉に応えた。
「これといって」
「私もよ」
「むしろいい印象を受けましたね」
「そうね、邪な気配がなくて」
 全くというのだ。
「むしろ奇麗な」
「皆さんそうした気配でしたね」
「それでもね」
「私達は敵味方なんですね」
「そうよ、敵が絶対に悪人か」
「そんなことはないですね」
「ええ、ないわ」
 全くと言うのだった。
「世の中はね」
「私達も同じですね」
「だから世の中は難しいのよ」
 火煉も焼肉を食べている、囲んでいる網の上で自分達で肉を焼いてそれを箸に取ってタレに付けてから食べている。
「敵は決してよ」
「悪人じゃないですね」
「むしろいい人達であることの方がね」
「多いですか」
「皮肉なことにね」
 火煉は悲しい笑顔になってこうも言った。
「世の中はね」
「そうしたものですか」
「だからね」
 それでというのだ。
「そうしたことも受け入れてよ」
「私達は戦うんですね」
「そうよ」
 こう言うのだった。
「そのこともいいわね」
「覚悟することですね」
「そうよ、覚悟して」
 そしてというのだ。 
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