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星河の覇皇

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第八十三部第五章 謎の兵器の正体その二十二

「ならです」
「誰もですね」
「戦争を起こして活動を阻害しませんね」
「むしろその中でどう利益を得るか」
「それに腐心していっていますね」
「戦争を起こして何が売れるか」
 八条は問う様にして言った。
「武器や薬品でしょうか」
「そして食料ですね」
「弾薬やエネルギーですね」
「戦争は消費なのは事実で」
 そうしたものを消費して行うものである、それもまた戦争の一面だ。
「そこにものを売ればです」
「利益になることは事実ですね」
「やはり」
「そのことは」
「はい、ですが武器といえば軍需産業ですが」
 これはというと。
「技術や設備投資が莫大で」
「その維持と発展にもですね」
「常に多くの予算が必要ですね」
「ですが市場が限られている」
「どうしても」
「民間に売れるものは限られています」
 間違っても軍隊の兵器は正式な許可がないと売れない、連合にかつて存在していた傭兵達が使っていた艦艇や武器にしてもそうだった。
「軍相手のものになりますが」
「実際市場が限られていて」
「それで利益を得ようとしますと」
「何かと難しいですね」
「どうしても」
「そうです、それは弾薬も同じで」
 それでというのだ。
「薬品や食料は普通に売れます」
「通常の経済活動の中で」
「それこそ幾らでも売れますね」
「戦争をせずとも」
「そうです、被服も同じです」
 ここには下着や靴も含まれる。
「普通にお洒落なものを生み出せば」
「それで、ですね」
「売れますね」
「それも飛ぶ様に」
「そうです、実際兵器を売るよりも」
 採算の取れにくいそういったものをというのだ。
「日用品を売った方が総合的に利益は大きいですね」
「歯ブラシや歯磨き粉を売った方が」
「実際にそういったものは技術や設備投資が兵器よりもずっと安価です」
「しかも安定した収入があります」
「歯を磨かない人なぞ滅多にいませんから」
「それが経済です」 
 もっと言えば資本主義経済だ、八条は看破した。
「平和である方がです」
「莫大な利益が得られますね」
「それも安定して」
「しかも安全に」
「これだけいいものはないですね」
「連合に連合の中で戦争を起こす人はいないです」
 一人もとだ、八条は言い切った。
「テロリストはいますが」
「テロリストは言うなら狂人です」
「残念ながら狂人は何処でもいます」
「そうした連中は殲滅するしかないです」
「話し合いも通じないですから」
「そうです、そうした者達のそれは戦争ではなくです」
 あくまでというのだ。
「テロであり」
「戦争とは違いますね」
「戦争に近い面は確かにありますが」
「それでもですね」
「国家同士の戦争ではなく」
 そしてとだ、八条は話した。 
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