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星河の覇皇

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第八十三部第五章 謎の兵器の正体その十七

「シャイターン主席はです」
「中央政府には関心を向けられない」
「そうなのですね」
「だから新国家ですか」
「新国家を建国されますか」
「そしてその国家で君主、国王となるでしょうか」
 その立場だというのだ。
「そのうえで、です」
「野心を適えられる」
「連合の中において」
「そうされますか」
「そうかと。シャイターン主席は何故サハラの皇帝となられたいか」
 その野心の目的についてもだ、八条は話した。
「それは権力欲だけではありません」
「皇帝という至高の座に就く」
「それだけではないですか」
「あの御仁の野心は」
「そうなのですか」
「豊かで繁栄している国家を築く」
 そうした国をというのだ。
「むしろそちらの方がです」
「シャイターン主席の野心ですか」
「そうなのですか」
「その実は」
「私はそう見ています」
 八条は先を広く遠くまで見る目で述べた。
「あの方は大きな方ですから」
「権力への野心だけでなく」
「素晴らしい国を築こうという野心もお持ちですか」
「そうした方ですか」
「現にティムールはいい国と言っていいです」
 今現在シャイターンが治めているこの国はというのだ。
「それを見てもです」
「あの方の野心は国家ですか」
「素晴らしい国家を築く」
「それがあの方の野心ですか」
「私はそう見ています」
 まさにというのだ。
「ですから連合に入られると」
「王となられ」
「そして新国家を繁栄させる」
「そのことを目指されますか」
「そうでしょう、ただ」
 ここで八条はこうも言った。
「これがアッディーン大統領ならです」
「あの方が敗れて」
「そして連合に入られると」
「どうなるか」
「あの方は野心はおありではないです」
 アッディーン、彼はというのだ。
「今の状況も宗教を抜きにして語ると成り行きです」
「イスラムで言うとアッラーの定めた運命ですね」
「それによるものですね」
「戦争に勝っていき」
「そのうえでのことですね」
「はい、まさに運命の導きであります」
 八条は今度は宗教を話に入れて述べた。
「全ては」
「アッディーン大統領の場合は」
「そこがシャイターン主席と違いますか」
「受動的ですね、つまりは」
「そうです、軍人としても政治家としても優れた方ですが」
 それでもというのだ。
「あの方はです」
「野心を持っておられない」
「では連合に入られてもですね」
「新国家の建国なぞはされない」
「そうなのですね」
「それはないです、ただ軍隊は好きな方の様なので」
 オムダーマン軍幼年学校からその世界で生きてきた、実際にアッディーンは軍隊という社会が好きで馴染んでいる。 
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