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イベリス

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第九十六話 お盆になりその十二

「少なくとも私はよ」
「そうした考えってことね」
「咲ちゃんが布施餓鬼をしたいならね」
「したらいいのね」
「私が言うことじゃないわ、ただ餓鬼になるまで腐った奴が感謝するか」
 布施餓鬼をしてもというのだ。
「果たしてね」
「しないかも?」
「私はしないと思うわ、それで同じ行いをね」
「繰り返すのね」
「餓鬼になるまで堕ちたら這い上がれないわよ」
 それこそというのだ。
「人間の屑にもなったらね」
「もうそうなったら」
「這い上がれないのね」
「相当なことがない限りね」
「餓鬼でいるのね」
「大抵の人が何をしても」
「変わらないのね」
「感謝もしないで」
 それでというのだ。
「そこからもね」
「よくならないのね」
「感謝してそこからね」
「改心するのね」
「そうしたこともあるから」 
 世の中にはというのだ。
「反省して感謝もね」
「必要なのね」
「そういうのがなくてただ卑しくて」
「底意地悪いか善意が暴走してると」
「自分のやってることに大義名分見付けて好き勝手したりね」 
 そうしたりというのだ。
「していたらね」
「もう餓鬼になるし」
「私としてはね」
「そんな連中にはお布施したくないのね」
「もうずっと苦しめばいいのよ」
「そうした考えね」
「ええ、屑は屑でね」
 餓鬼になってもというのだ。
「報い受ければいいのよ、まあ滅多にいないけれどね」
「そこまで酷いのは」
「現に咲ちゃんも人間の屑って言われたことないでしょ」
「流石にね」
 咲も罵られたことはある、だがそれでもだ。
「ないわ」
「でしょ?そう言われてる奴もでしょ」
「見たことはあっても」
「多くないでしょ」
「数える位しかいないわ」
「人間生きていたらある程度でもね」
 多少でもというのだ。
「徳を積むからね」
「そうして生きていくのね」
「だからね」
「そんな屑にはなのね」
「ないわ、いいところがあるかって聞かれて」 
 そうしてというのだ。
「ないとまで言われる人なんてね」
「流石に滅多にいないわね」
「ドキュンになるのなんてね」 
「ほんの少しね」
「まあそんな奴顔にも出るしね」
「あっ、これは駄目っていう」
「子供虐待する奴なんていうのが屑だけれど」 
 今言っているそれだがというのだ。
「そんな屑の顔見たらね」
「一発でわかるのね」
「生き方が顔に出てね」
 そうなってというのだ。
「これは生きていても害になるだけっていう」
「そんな顔になるのね」
「人間四十で顔に生き方が出るって言うけれど」
 リンカーンの言葉だ、生まれた時に幾ら整った顔立ちをしていても生き方が人相に出てしまうということだ。 
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