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ドリトル先生と山椒魚

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第八幕その七

「そうしたことを把握することも」
「大事ですね」
「そして生息していないと思っても」
「その地域にですね」
「棲息していたりするね」
「そうしたこともありますね」
「例えば四国に鳥はいないとかね」 
 先生はワインを飲みつつこうしたお話をしました。
「言われても」
「いないと思い込まないことですね」
「そもそもあらゆる可能性がある」
「それがですね」
「学問だしね」
 だからだというのです。
「そうしたこともね」
「思いこまないで」
「生きものの調査で現地に入ったらね」
「どういった生きものもいる可能性がある、ですね」
「そう考えてね」 
 そのうえでというのです。
「調査すべきなんだ」
「そうだよね」
「そうしないと新たな発見もないよね」
「世の中それで色々な生きものが発見されて」
「今先生がお話してる分布だってそうよね」
「何処に分布しているかわからないし」
「いないと決め付けないことだね」   
 皆も口々に言います。
「決め付けはよくないけれど」
「学問でもだね」
「こうだって決めたらね」
「それで終わりだしね」
「そうだよ、だからね」
 先生は皆にもお話します。
「僕は気を付けてるんだ」
「決め付けはしない」
「そのうえで学問にあたる」
「そうしようとだね」
「意識してるのね」
「そうなんだ、実際鳥は四国にもいるよ」
 こちらにもというのです。
「ちゃんとね」
「そうだよね」
「鳥いるよね、四国にも」
「というか何でそんな言葉出たの?」
「不思議なんだけれど」
「長曾我部元親さんがいたね」
 先生はこの人の名前を出しました。
「戦国時代の土佐今の高知県に」
「ああ、あの人?」
「四国の覇者になった」
「一代でそうして」
「後で豊臣秀吉さんに仕えた」
「あの人は強かったけれど」 
 このことは事実でもというのです。
「四国には当時他に強い人がいなかったんだ」
「だから四国を統一出来たんだね」
「他にこれといった人達がいなくて」
「それでなんだ」
「だから当時天下人だった織田信長さんが言ったそうなんだ」
 この人がというのです。
「鳥のいないつまり強い人のいないね」
「ああ、そういう意味だね」
「それでそう言ったんだ」
「他に強い人がいない」
「飛ぶ鳥がいないことと同じで」
「そこで蝙蝠がいたら」 
 飛ぶこの生きものがです。
「唯一飛ぶから」
「もう蝙蝠だけ目立つね」
「お空は蝙蝠のものだね」
「そうなるね」
「そうだよ、そうした意味の言葉で」
 それでというのです。 
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