X ーthe another storyー
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第十五話 仮住その五
「地の龍のこともな」
「お聞きしますね」
「そうしよか、少なくともな」
「七人目の人のことをですね」
「聞こうな、わいの勘が正しかったら」
空汰はその目を鋭くさせて述べた。
「今度は陰陽師は」
「そちらの人なの」
「そう思うわ、それもな」
嵐に応えさらに言った。
「皇家位のね」
「皇家!?あの」
「陰陽道でもトップクラスのお家じゃないですか」
嵐の眉がぴくりと動き護刃はまさかという声をあげた。
「そんなお家からですか」
「天の龍が出て来たの」
「そうちゃうか?何でもな」
空汰は感情を見せた二人にさらに話した。
「あの家の今のご当主桜塚護と因縁があるそうやし」
「彼が地の龍なら」
「皇家のご当主がですか」
「そうかもな」
天の龍だというのだ。
「ひょっとしたらやが」
「そうなのね、現当主は歴代当主の中でも最高の術師とね」
「言われてるな」
「その人が天の龍だと」
「有り難いな」
「正直言ってね」
嵐は空汰に真顔で答えた。
「そう思うわ」
「そやな」
「ええ、けれど私達は敵のことをね」
「まだよお知らんな」
「そうとしか言えないわ」
今の状況ではというのだ。
「もうね」
「その通りやな」
「そのことも知りたいわね」
心からだ、嵐は言った。
「本当に敵のことを知らないと」
「どうにもならんからな」
「そこは知りたいわ」
「ほんまにな」
彼等の今の住まいでこんなことを話した、その頃。
哪吒は塔城家の屋敷にいた、それで広い食堂の中で祖父と向かい合ってそのうえで豪奢な夕食を口にしていたが。
祖父は大きなテーブルの向かい側に座る彼にこう言った。
「戻って来るとはだ」
「思っていなかったか」
「そうだったが」
自分も食べつつ言うのだった。
「お前は必ずだ」
「はい、こちらでです」
「寝泊りしているな」
「ここが僕の家ですから」
「この塔城家がか」
「そうですから」
「庚様のところは違うのか」
祖父は哪吒に問うた。
「あちらではないのか」
「あちらに僕のお部屋は用意してもらっています」
哪吒は食べつつ答えた。
「確かに」
「しかしか」
「はい、僕の家はです」
「この屋敷か」
「そう思っていますから」
それ故にというのだ。
「こちらに帰っています」
「毎晩か」
「そして」
祖父を見てさらに言った。
「家族はです」
「私か」
「お祖父様が」
まさにというのだ。
「僕の家族です」
「そう思っているか」
「違いますか」
「いや、その通りだ」
まさにとだ、祖父は孫に答えた。
「お前はお前の父親と母親の遺伝子からな」
「生まれていますね」
「そうだからこそな」
「お祖父様の孫ですね」
「たった一人のな」
優しい声でこうも言った。
「そうだ」
「ですから」
「こうしてか」
「戻って来て」
そのうえでというのだ。
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