夜勤族の妄想物語 4.異世界ほのぼの日記2~異世界でも夜勤になったので堂々と昼呑みします~
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前書き
楽しそうに呑む2人を羨みながら面接を行う好美。
-⑰ 従業員面接開始したけど-
業務提携の話し合いが上手く行き過ぎたが故に臨時休業とした拉麺屋の業務をすっぽかして昼間から堂々と呑んでいるシューゴとパルライを遠くに見ながら、自ら所有するビルの一部を提供してオーナーとして関わる事になった倉下好美は、こちらもまた自らがオーナーとなりもうすぐ開店する予定であるコンビニのオープニングスタッフも併せて拉麺屋の従業員採用面接を行っていた。
自分が採用面接の面接官をするだなんて思っていなかった上に、異世界で。面接官をしている好美の方が多分緊張していたであろう雰囲気の中で、メモしておいた通りに必要事項を確認していった。
好美「どうぞ、お座りください。私、今回オーナーになる予定の倉下好美と申します。気軽に好美って呼んで下さい、まだ実感が湧いていないので。宜しくお願いします。」
事前に決めておいた台詞を面接相手に向けて言うと、この世界の面接において必ず最初に行うべき事をすることにした。
好美「では、早速ギルドカードをご確認させて頂きますね。」
この世界においてギルドカードは履歴書も兼ねているらしく、表面には氏名や種族などは勿論の事、所有スキルや資格などがある程度記載されている。表面に記載しきれなかった情報は、特殊な魔力によりギルドカードに触れた瞬間頭に直接流れ込んで来るというのだ。しかし、好美達転生者の持つスキルや資格、そして経歴などは特殊過ぎて情報を入力できないそうだ。
「そう言えば光さんが初めてこっちの世界でパン屋の面接を受けた時も前の職業を聞かれたって言ってたもんな、こういう理由なんだ」とふと思いながら預かったギルドカードを片手に面接を続けていった。
好美「えっと・・・、ニクシーのピューア・チェルドさんですね。このお仕事の前はどの様なお仕事をされていたのですか?」
ピューア「こちらに来させて頂く前は寿司屋で板前を致しておりました、勿論調理師免許資格も持っております。」
好美「ご自分でネタを切って・・・、ですよね。」
ピューア「勿論そうです、自分で言うのもなんですが私魚捌くの得意でして。」
好美「当店ではお肉系統や麺類がメインなのですが大丈夫ですか?」
ピューア「はい、私お肉や麺も大好物なので。」
肉料理と麺に関しては好きこそものの上手なれというやつかと好美なりに理解しようとした。ただ人魚が魚料理って・・・、何処か皮肉な気がした。
好美「あの・・・、差し支えなければ一つお伺いしたいのですが。」
ピューア「どうされました?」
好美「抵抗されないのですか?お魚を切る事に関してなのですが。」
飽くまでも好美個人的な事なのだが、ニクシーやマーメイドといった人魚族は毎日小さな魚などに囲まれて仲良く過ごしているイメージがあった。
仲間とも言える魚を・・・、捌くだと?
ピューア「やっぱりそう思われますか。でも仕事だと思って割り切っていますし、魔力で尾鰭を足に変えてる時は自分もいち人間だと思っています。」
好美「なるほど・・・、プロ根性ってやつですかね。それで話は変わりますが、ピューアさんはバルファイ王国の魔学校で経営学も学んでおられた様ですのでこの度は店長希望でよろしいですか?」
ピューア「確か週2日で深夜営業をされる予定と書かれていましたので、ナイトマネージャーと厨房担当を希望していまして。」
深夜希望・・・、何か理由があるのだろうか。
好美「日勤ではなく夜勤を希望されるという事ですか?」
どうやらピューアはこのネフェテルサ王国の市街地で、週3日の午前中に料理教室を開く為、ダンラルタ王国からやって来ているらしく、深夜営業が休みの時は教室で教える料理の研究をする予定なのだと言う。因みに居住地は上の階層のマンションで、1306号室に入居しているそうだ。
近所に住む人魚が作る料理に個人的に興味を示し始めた好美は是非採用したいと思っていた。
好美「分かりました、では店主と話し合いまして採用不採用のご連絡をさせて頂きます。本日はお越し頂きありがとうございました。因みに、この後のご予定は?」
ピューア「この後は何も無いので、家に帰って呑もうかと・・・。何ですか?」
好美「良かったらご一緒させてください、ピューアさんの事、もっと知りたいので。」
後書き
大将と隣国王の影響で我慢できなくなってしまった。
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