夜勤族の妄想物語 4.異世界ほのぼの日記2~異世界でも夜勤になったので堂々と昼呑みします~
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⑭
前書き
1人ほったらかしとなった大将。
-⑭ 新店舗-
思った以上にあっさりと事が運んだので暫くの間1人ポカンとした表情を浮かべるシューゴの隣で、あたかも自分が主人の様に計画を進めていく渚と新店のオーナーの好美。完全にアウェーな状態になってしまったので調理場へと移動しようとしたのだが。
シューゴ「俺・・・、醬油ダレの仕込みを・・・。」
渚「何言ってんだい、大将無しにこんな重要な案件を決める訳にはいかんだろ。」
あっさりと渚に腕を引っ張り席に座らされ、しょぼくれていたのだが一先ず思いついた新サービスの提案をしてみる事にした。
シューゴ「折角、マンションの真下に店舗を構えるんだから住民の方々限定でお部屋に出前するのってどうかな。勿論、コンビニと同じでビルの内側からも入店出来る様にもした上でだけど。」
渚「あんたたまにはいいこと言うじゃないか、見直したよ。」
もう1つの重要事項について決める為、好美が口を挟んだ。
好美「あ、あの・・・。オープニングスタッフの採用面接はいつしますか?出来ればコンビニと合同で行っていけたらと思っているんですが。」
渚「そうだね・・・、面接についてのポスターを出してもすぐには連絡が来ないと思うから、マンション内の掲示板と街中に数か所貼って1週間後位連絡を待ってみるのが良いんじゃないかね。」
好美はよし、そうと決まれば善は急げだと言わんばかりにポスターを数枚刷って早速マンション内の掲示板に貼っていった。マンションには続々と契約した住民達が引っ越してきている様なのでもう何人かは見ているだろうと思われる、一応コンビニ側の面接を担当する好美と拉麺屋側を担当するシューゴの両方の連絡先を記載して面接希望者を待った。
今回はアルバイトと店長や副店長、そしてナイトマネージャーといったメンバーを募集する。店長と副店長、ナイトマネージャーの面接には「経営にお詳しい方限定」とやんわりと条件を書いておいた。同時に拉麵屋の条件には「調理師免許をお持ちの方」と付け加えてある。理由は2つあり、1つはオーナーとなる好美が経営については全く詳しくないからで、もう1つは好美自身も夜勤での王宮の見回りの仕事に行くので安心して店を任せることが出来る人材を確保したいからであった。渚とシューゴも交えてポスターを何度も何度も読み返して全ての重要事項がしっかりと記入されている事を確認した上で貼りだしておいたから大丈夫だろう。
今日は一旦、拉麵屋を臨時休業にして3人はポスターをマンション内の掲示板全てに貼り終えると全員で1階へと移動した。渚が『瞬間移動』で不動産屋を連れて来て仲介を依頼し、その場で双方が書類にサインして契約を交わし終えた。
渚「そうと決まれば早速やるか、ここ1箇所なら私1人で大丈夫そうだね。」
『瞬間移動』で不動産屋を送って来た渚が両手をビル1階の空きスペースへと向けて魔力を流し込むと、一瞬にして空きスペースが一秀のいる1号店の様な見た目に様変わりした。よく考えてみればこのビル自体を改装したのも渚だ、本人にとったらこれ位は自由自在で朝飯前なのだろう。
シューゴは新しい調理場に入ると早速調理道具の確認をしていった、ざっと見回しただけだが器も含め必要な道具等は揃っているそうだ。今回は新たな施設として商品のみを載せて住民の部屋に送る用の小さなエレベーターを設置した、これを出前に有効活用して欲しいと渚は伝えた。横のボタンで「階層」ではなく「部屋番号」を指定して送るシステムとなっている、これは忙しい時は大助かりになりそうだ。食べ終えた食器類は客により階層で指定されている引き戸から返却され、ビル全体を流れる水の力で戻ってくるシステムになっている、戻ってくる間に洗剤やスポンジを用いた洗浄が行われ綺麗な状態で食器棚近辺の戻り口へと戻ってくる。上の階層から降りてくる時、食器類は常に水に包まれている状態で保たれている為割れる事は無い。某有名回転寿司チェーンを参考にしたシステムらしい。このエレベーターには住民用の物とは違い、「倉下家(15階)」のボタンが付いている。例の「暗証番号」の流出を防ぐための対策だそうだ。
回転率を少しでも上げる為に注文のシステムも機械式に変わっており、各々の従業員が貸し出される機械で注文を入力して送ると伝票が印刷される。
出前の注文システムも特殊だった。店舗の調理場には液晶ディスプレイが設置されており、住民が家にある固定電話のテンキーで専用のコードを入力するとディスプレイに注文が表示され店舗での注文と同様に伝票が印刷される。それに応じて調理をすれば良いという訳だ。
マンション内だけでも多くの客を相手にするので、店主には別の問題が生じていた。そう、自分と一秀しか知らない秘伝の「醬油ダレ」の生産が追い付かない可能性が生じていた。天候や気候に合わせているから毎朝作る必要があり、前日までの作り置きができない。
渚「うーん・・・、だったら。」
渚は頭を抱える店主の為、自分に出来る事は何か無いかと考えてみた。
後書き
渚が考えた作戦とは。
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