夜勤族の妄想物語 4.異世界ほのぼの日記2~異世界でも夜勤になったので堂々と昼呑みします~
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⑧
前書き
侵入者に恐怖を覚える好美。
-⑧ 侵入者の目的-
確かここは15階、好美だけのプライベートスペースだったはず。ここに来るには暗証番号が必要なはず。どうして自分の真後ろに人が?
少し恐怖心を覚えながら後ろを振り向くとそこには渚がいた。
渚「驚かせて悪かったね、光が早く誘って来いってうるさいから来ちゃった。」
好美「誰かと思いましたよ、『瞬間移動』ですか?」
渚「というよりこのビル、あたしらの魔力で作り替えてるから来れちゃうのよ。まぁ、私か光がたまに遊びに来る程度だから許して。」
知らない人だったらどうしようかと心臓をバクバクと鳴らしつつ、一応バスタオル巻いておいて良かったと安心していた。確かにこの設計は渚と光からのプレゼントだ、2人の行動を否定する事はできない。いつか自分もあんな魔法を使えるようになるのかなと少し微笑んだ。
しかし、今日はもう用事は終わったはずだ。今は何もかも忘れて思いっきり昼吞みを楽しみたい時間帯、正直言うと邪魔されたくない。今度は何なんだ?
好美「何かありましたっけ?」
渚「何言ってんの、あんたの歓迎会だよ。もう皆集まってるから早く服着てきな。」
渚にそう言われると、持っていた缶ビールを急いで飲み干し服を着る為テーブルへと向かおうとした。その瞬間・・・。
渚「あらま・・・。」
好美「す・・・、すぐ服着てきますから!!」
屋内へと急ぐ好美を見送りながら渚は顔をニヤつかせた。
渚「これは良い物を見ちゃったね、アハハ。」
数分後、日本から『転送』させて来た私服を着た好美が走って出て来た。先程まで一人で呑んでいたせいか、それとも急いだせいか顔が赤い。ただ息切れしていたのは確かなので後者なのだろう。
渚は急いで出て来た好美に自分が買って来た缶ビールを手渡し小さく乾杯すると、何とも美味そうな表情で呑んだ。何故か先程の物より美味く感じている、やはり誰かと呑む方が美味いと思える物なのだろうか。
渚「ははは・・・、美味そうに呑むね。あげた甲斐があったよ。」
好美「ありがとうございます、何よりもビールが大好きなんです!!」
渚「その言葉を聞けて安心したよ、向こうにも沢山用意しているから楽しみにしてな。じゃあ、行くよ。」
そう言うと渚は右手を高く上げ、2人の頭上で円を描いた。その瞬間ある民家の裏庭に到着し、2人の目の前で光が冷やしたグラスに生ビールを注いでいた。
光「おかえり・・・、って母さん!!何先にやっちゃってんの、今3人分のビール注いだんだよ!!」
渚「しょうがないじゃないか、だって迎えに行った瞬間には主役の方も始めてたんだよ。誰だって呑みたくなるだろ。」
そう言った渚が持っていた缶ビールを飲み干して光が注いだ生を受け取ると、本日の主役も急いで飲み干した。
改めて3人が生ビールで乾杯すると、辺りから物凄く美味そうな匂いがやって来て涎が出始めた。
渚「これはあの時の牛じゃないのかい?」
好美が転生してくる数週間前、光はネフェテルサ王国の競艇場で万舟券を獲得し思い出のある肉屋で思い出深い牛肉を買っていた。あの時と同様に一頭丸々、なので今回もネスタと結愛が解体している。前回と違うところは整形をも2人が行っているところとずっと酒片手にやっているところだ。しかも整形した肉をそのまま焼きながら行っている、ただ切れ端を焼いてるみたいなので許容する事にした。
結愛「師匠ー、次カイノミ行ってもいいですかぁ?」
ネスタ「あんた、食べたいからってわざと切れ端を大きくして無いかい?私もだけどね、アハハ。」
どう見ても2人で呑みに来ている様にしか見えない光景だ、ただ今日の主役である好美達の顔を見た瞬間自分達のテーブルへと誘いおもてなしを始めた。貝塚財閥の社長が自ら注いだ生ビールを好美に渡して乾杯すると、2人は最高の表情で一気に飲み干した。
後書き
美味いビールは人の顔を最高のものにする。
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