プロパンガス爆発リア充しろ【完結】
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「クーリングオフ期間の満了:他の女性と一緒に暮らすか、結果に直面するか」
「はい」そういいつつ私はトーストとハムエッグ、野菜のスープ、それと牛乳をテーブルに置いた。「じゃあいってらっしゃいなんですよ!」
そう、この旦那さんの職業は、探偵さんである。
「ん?まだ七時半じゃないか。こんな時間にでて行って、遅刻でもしたらシャレにならないぞ」そういわれ時計を見ると八時過ぎであった。「わっ、いけない。すぐ着替えるんですよー!!」「へいへい、んじゃいってきま」そういうと彼は出て行った。そして、すぐに帰ってきた。
「おそい」
「わりぃ。これ、忘れてな」
そういいながら手渡してきたのは鍵と名刺入れだった。「ほれ。お前も仕事に行くなら持っとけ」私は何も言わずに受け取った。
「それじゃ、行ってくるぜ」
そしてまた、彼が出かけていった。今度は私一人だけが残った家の中に私の声が響く
「いって、しゃいん、しゅぎょう……」
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「あ」彼は思わず声をあげていた。というのも目の前に居たのは先ほどまで一緒についてきた妻ではなかったからだ。「あれ?」と振り返る。と。そこには確かに妻の姿が見えた。
「うむ」何となく納得すると、再び前に顔を戻す。
そこはまるで地獄のような風景だった。あたりは火に囲まれており煙が充満していた。
「ううむ」もう一度うなり、どうすべきか考えを巡らすも答えは出ないまま。
「おい!あんた無事か!」と男に問いかけられた。「むう」とりあえず彼は答える。「ああ大丈夫だ。しかし何が起きたのかわかんない」すると「爆発だよ。爆弾が爆発したんだよ」という返事がかえってくる。なる程、ならばこの惨状も納得ができるというものだ。
「それでどうするよ。このままここにいると焼け死んじまいますぜ」男が言うと、周りの人達も、ううんと考え出した。
「よし。俺は逃げる」
誰かがそういった途端に皆一斉に逃げ出し始める。自分も続かねばと走り出そうとすると
「あっ、待ってくれ!」と、一人の女に呼び止められた。振り向くとそこにはまだ少女と呼べるような子が立っていた。そして「これを」と手渡して来た。渡されたものは何かが入った筒と一枚のカードのようなもの。筒のほうには英語で『E』と書かれた文字が入っていた。
そして「早く」と少女が言ったので、男は少女の後を追いその場を離れた。
「はやく、いそぐ」その一言でさらにペースをあげるが、なかなかに速い。必死に足を動かしてなんとか付いて行く。そしてしばらくすると、ようやく出口が見えたのがわかった。「もう少しで外だ!」少女は後ろからついてくる。だが、もう体力が尽きかけ、走れなくなってきていた。
(はやく……でていけ!でないと、ぼくが……おれがころされる!あのひとに)少女はもう走れなかった。だから後ろから追いかけてきているであろう奴らに銃を撃つこともできないのだ。そんなことを考えていると突然少女が転んでしまった。「しめた!」と、男は思った。これでは追いつく。そう思って少女に追いつこうと更に足を速める。すると。「うおお!」という悲鳴とともに男が仰け反った。バリバリと銃撃が地面をうがつ。そしてさっきまで男がいた場所が爆発した。「あの野郎、俺を撃った?!」男は機影を憎々しげに目で追う。「そうだよ。あんたは既に巻き込まれている」「なっ!?」
そして男の目に映ったものは、こちらに歩いて近づいてくる少年と少女、そして少女を守るように立つ数人の兵士の姿であった…………。
そして時は戻り、少女は叫ぶ。「まだ終わってなんかないですよ」
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「はぁ、なんともめんどくさいことになって来たなぁ。本当にこれでよかったのかねぇ」と、呟くのはこの店のマスターにして店主でもある、通称死神。彼こそはこの店で起きる事件の解決や依頼人のために動くことを生業とする、いわば何でも屋。そして今彼の目の前にある事件も彼が受けた仕事の一つだった。
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「で、だ。どうしてそんなことになっちまったのかな、ええ、坊主。説明してくれないか?」と、青年は問う。「それがさ、よくわからないんだよね」と青年。「ただ、僕の目の前で、その子、殺されたっていうより、喰われたっていう感じなんだよね」と、続けると
「ふぅん。で、お前は何で死んだと思ったのかね」と返すのが、ここの店長でありこの探偵事務所の主である、自称死神である、本名不明の謎に包まれた人物(笑 性別・種族・年齢全て不明である。が、見た目的におそらく女性ではないかと言われている)
。まぁ、そんな謎めいたところがあるのが逆に良い!と評判のようだが……。実際問題、かなり性格がねじ曲がっているためあまり関わりたくはないのだが、それでも依頼に来る者は来るのだ が。
ちなみに今回の事件に関しては、死神自身も首を傾げざるを得ない状況なのだ まず、そもそもここはどこなのかというところから始まり、何故少女が殺され、喰われるという事態に至ったかというところで既に話が止まってしまってしまっているのだ
「で、君の名前はなんて言うの?」と、少女が青年に聞くと、
「僕は真崎勇人って名前だけど、君は?」と青年が答える。少女も自分の名前を答えて、お互いに自己紹介を終えたあと、
「じゃあ、真崎さん、よろしくお願いしますね」と、少女はにっこりと微笑む。「うん、よろしくね、小鳥遊ちゃん」と言って握手をしようとする真崎の手が、少女に触れる寸前に弾かれる。そして、「きゃああ!」と声を上げて飛び上がる真崎を他所に、にやりとした表情を浮かべる少女。そしてその笑顔のまま真崎を見て言う
「残念ながらあなたには私に触れてもらうことはできないんですよ」と。
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