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温かいから冬は

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第二章

「お湯が冷えたら終わりだしな」
「使い捨てカイロもあるけれどね」
「あっちはあっちでお金かかるしな」
「便利だけれどね」
「けれどふわりならか」
「そうでしょ、低温火傷しないし」
 犬ならというのだ。
「しかも使い捨てカイロと違って」
「幾らでも温まってか」
「それでお金もかからないし」
 買ってというのだ、使い捨てカイロはまさに使い捨てであるので使えば使うだけ買うのでお金もかかるのだ。
「だからね」
「それで尚更いいな」
「そうなの、ふわりには感謝してるわ」
 抱き締めている彼女を見つつ話した。
「冬の寒い時もね」
「それはいいけれどな」
 妻の話をここまで聞いてだった、文太は妻に咎める様な顔になって言った。
「お前はいいがふわりはな」
「迷惑かどうか」
「ああ、そのことがな」
「問題ね」
「ふわりが抱っこされるのが迷惑でな」 
 彼女がそう思っていてというのだ。
「いつも抱き締められるとな」
「嫌よね」
「ストレスになるだろ」
「それね、ふわりって抱っこされるの好きなのよ」
 百合子は笑って話した。
「抱っこしたら尻尾振るから」
「ああ、そうなのか」
「それで気持ちよさそうにすぐに寝るのよ」
「そうなんだな」
「小さいしもふもふして抱き心地がいいから」 
 ふわりはというのだ。
「私もいい具合に抱っこ出来るし」
「それでか」
「尚更ね」
「そういえばふわり触られたり撫でられたりするの好きだな」
「そうでしょ、だからよ」
「抱っこされるのも好きか」
「そう、だからね」
 ふわりもそうだからだというのだ。
「心配いらないわ、それで今もね」
「眠そうだな」
「暫く抱いて温まったら」
「ふわりが寝ているとか」
「ケージに戻すわ」
「そうするんだな」
「今度ね、じゃあふわり宜しくね」
 百合子は今度はふわりに顔を向けて彼女に話した。
「今もね」
「クゥ~~ン」 
 ふわりも嬉しそうに鳴いて応えた、そうしてだった。
 百合子はふわりを抱いて温まりふわりも抱かれて機嫌よくしていた、国崎家の冬のある休日のことである。


温かいから冬は   完


                   2023・4・24 
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