| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

プロパンガス爆発リア充しろ【完結】

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

絆と感動の再会

彼は彼女の言葉を鼻で笑い飛ばすと、さらに話を続ける。「いいや、違うね。そもそもの話としてだ。あんなものを作り出したのも、こんな世界にしたのも全てお前の仕業じゃないか。自分が天才であることを笠に着てな。チクチクチクチク嫌味ばかり言いやがって。そんな奴を好きになれるわけないだろう。こっちだって迷惑しているんだよ」
そこまで言うと、彼は彼女を睨みつけたまま沈黙した。そんな彼の態度を見て、少女はたわしを取り出した。「私が開発したのはたわしコンピューターだよ。たわしでこの世界を守っている。チクワ電子頭脳はあんたのボスじゃん!」たわしの衝撃で男は一瞬、よろめいたものの、なんとか耐えきると、口を開き「たわしだと? バカを言うんじゃない。たわしで守れる世界なんて限られている」と吐き捨てるように言った。「そんなことはない! チワワもチモタンもいる。チビアナも!みんなたわしが大好きなんだ!」「ははははは、何を言い出すかと思えば、まったく意味がわかんねえな。ふざけるのもいい加減にしてくれないか。チワワならわかるがチワワがチモタンだと? はっ、こうなったらブタンガスで決着をつけよう」
漢はプロパンガスのボンベを取り出した。
「なにおう! プロパンガスにはアスパラガスで対抗だ」
アスパラガス百グラムを持ち出した。先端に火がついている。「馬鹿。何をする? 危ない。爆発するぞ」
漢はひるまない。
アスパラガスは、漢の腹に突き刺さる。
漢の身体が、炎に包まれ、悶え苦しむ。
「やめて。やめなさい。そんな事をしたら、死んでしまうわ」
漢の妻は泣き叫ぶ。「大丈夫だ。俺を信じるんだ」
「うぅ…….わかったわ」
妻の涙を、漢は手でぬぐい取りながら、微笑みを浮かべた。そして、妻を強く抱きしめ、優しく語りかける。「お前が好きだ」
その言葉を聞いて、少女は爆死した。「そんな……ひどい。酷過ぎるよぉ…….」
女が涙を流しているのを、少年は呆然と眺めていた。「酷いも何も、そういう世界なんですよ。この世の中は」
「そんなことないもん。きっと良い世界もあるはずだよ。僕は諦めない。絶対、この世界を救いたい。お願いです。僕に協力してください」
少女は頭を床につけて頼み込む。そんな少女の頭の上に、彼は手を乗せ「残念ですけど、無理なものは無理なんですよ」と言った。
「そんなぁ」
少女は絶望し、膝をついた。その瞬間、男が爆発した。血肉と煙が立ち上る中から、小さな女の子が現れる。
彼女は男の子の前に立つと「さあ、行きましょう」と言って手を取った。
「うん。ありがとう」
こうして二人は、光に向かって歩いて行った。

おわり。あとがき。
おしまい。終わります。
読んでいただき、どうもありがとうございました。
皆様のおかげでここまでやってこれたことを本当に嬉しく思っています。
また機会がありましたら、よろしくお願いします。
次回作でお会いできるのを楽しみにしております。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧