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プロパンガス爆発リア充しろ【完結】

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思い出のカケラを繋いで

「へぇ、どんなこと考えてたの?」
少女は興味津々といった様子でこちらを見ている。
「いや、大したことじゃないよ。それより君の名前は?」「名前?そんなの知らないけど。どうしてそんな事聞くの?」
少女は不思議そうな顔をしている。
「だって、君の名前を聞かないと、呼ぶ時に困っちゃうじゃないか。それに、俺は君の事を知らないし、俺の名前も教えてない」
「へぇ、そうなんだ」
少年は、興味なさそうに呟いた。
「うん……。だから、名前を教えて欲しいんだけど」
少女は、首を傾げる。
「嫌だよ」
少女は、はっきりと拒絶した。
「どうして?」
「だって、あなたの名前は、僕には関係ないから」
「それは、まぁ、確かにそうだけれども」
「でしょう? じゃあ、別にいいじゃないですか」
「いや、でもさ、それだと不便だし」
「僕は、特に不便を感じませんけど」
少女の言葉は、その場の空気を一変させた。
「それじゃあ……それじゃあ、あんたが殺したっていうのか!? あの人を!!」
僕は叫んだ。僕の知っている人が犯人だったなんて、とても信じられない。
「えぇ、そうよ。私がこの手で殺してやったわ。でも、あなたは運が良い方よ? 私に感謝なさい」
「感謝ですって?」
僕が問い返すと、彼女は首を傾げた。
「えぇ、そうよ。だって、私は殺人鬼として世間から忌み嫌われているのだから」
「それは、あなたの勝手でしょう!! どうして、そこまで言われなくちゃいけないのよ!?」
「だから言ってんだろ! お前は、いつもそうだ。自分が正しいと思い込んで……。俺の話なんか聞きゃしねえ!!」
「あなただって、そうじゃない! 自分の言いたいことばかり押し付けて、私の話なんて全然聞いてくれないわ!」
「ああ、そうだとも! 俺は、そういう人間だよ。自分勝手でわがままなんだから、仕方ないだろ!」
「開き直ったつもり?いいわよ。だったら、あんたが犯人だってことを証明してあげる」
わたしはそう言って、バッグから取り出したハンカチを開いた。
「この中に、わたしたちが昨日買ってきたお土産のクッキーがあるの。これが証拠になるはずよ」
「ああ、それなら、ボクも持ってます」
後輩の男の子が言いながら、自分のリュックサックを開けた。
「ほら、ここに」
彼が手にしていた袋の中には色鮮やかなお菓子が入っていた。しかし……、 登場人物名・団体名等は架空のものであり、実在するものとは一切関係ありません。また登場する人物名は男性名の場合全て仮名となっております。(女性名の場合は一部仮名にならないものもあります)
――あれっ、ここはどこだろう。目を覚ましたとき、まず感じたのは違和感だった。
見慣れぬ部屋、見覚えのないベッド、見覚えのある女の子。
見覚えはあるけれど、誰なのか思い出せない。
そして、見覚えがないはずの顔なのに、どこか見覚えがあって懐かしくて……。「おはようございます」
声をかけられて振り向くと、そこにいたのは見知らぬ少女。
「ここは……」
「病院ですよ。憶えてませんか?」
「ああ、そういえば……」
ようやく記憶がはっきりしてきた。
「君は……、確か、あのときの」

「はい。先輩の知り合いの」
「えっと、確か、名前は……」
「真紀です。橘真紀」
「真紀さんか。それで、真紀さんはなんでここに?」
「お見舞いに来たんですよ」
「そっか。わざわざありがとう」
「いえ、お礼を言うのはわたしの方なので」
「ん、どういうこと?」
「実はですね、わたし、今日が誕生日なんです」
「あっ、そうなんだ。おめでとう」
「ありがとうございます。それで、その、お祝いをしてほしいなって」
「いいけど、何か欲しいものがあるのかな」
「はい。先輩の、初めてをください」
「へっ、今何て言ったの?」
「初めてを、くれませんか。もちろん、性的な意味で」
「ちょっと待って、何でそんな話に」
「だって、恋人同士でしょ。初めてのキスとか、初体験とかさ、あるじゃないですか。でも、わたしたち、まだ何もないでしょ。だから、先輩の初めてを貰おうと思って。もちろん、性的な意味のね」
「うーんと、よく分からないけど、君が言っているのは初めて会ったときに言っていたようなことだよね。つまり、僕とセックスしたいってこと?」
「うん。ダメかな」
「うーんと、一応聞くんだけどさ、僕のことが好きなんだよな」
「当たり前じゃん。だから、こうして頼んでるんじゃない」
「そっか。まぁ、それなら別に良いと思うけどさ」
「ほんとに!? 嬉しい!」
少女は満面の笑みを浮かべた。
「それじゃあ、早速だけどさ、今からしようよ」
「ああ、うん。分かった」
男はベッドの上で上体を起こした。
「服脱ぐからさ、手伝ってくれるかな」
「うふふ、喜んで!」
少女は嬉しそうに男のシャツのボタンを外し始めた。 
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