プロパンガス爆発リア充しろ【完結】
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「姉のダメになった姿」
(はやく……でていけ!でないと、ぼくが……おれがころされる!あのひとに)少女はもう走れなかった。だから後ろから追いかけてきているであろう奴らに銃を撃つこともできないのだ。そんなことを考えていると突然少女が転んでしまった。「しめた!」と、男は思った。これでは追いつく。そう思って少女に追いつこうと更に足を速める。すると。「うおお!」という悲鳴とともに男が仰け反った。バリバリと銃撃が地面をうがつ。そしてさっきまで男がいた場所が爆発した。「あの野郎、俺を撃った?!」男は機影を憎々しげに目で追う。「そうだよ。あんたは既に巻き込まれている」「なっ!?」
そして男の目に映ったものは、こちらに歩いて近づいてくる少年と少女、そして少女を守るように立つ数人の兵士の姿であった…………。
そして時は戻り、少女は叫ぶ。「まだ終わってなんかないですよ」
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「はぁ、なんともめんどくさいことになって来たなぁ。本当にこれでよかったのかねぇ」と、呟くのはこの店のマスターにして店主でもある、通称死神。彼こそはこの店で起きる事件の解決や依頼人のために動くことを生業とする、いわば何でも屋。そして今彼の目の前にある事件も彼が受けた仕事の一つだった。
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「で、だ。どうしてそんなことになっちまったのかな、ええ、坊主。説明してくれないか?」と、青年は問う。「それがさ、よくわからないんだよね」と青年。「ただ、僕の目の前で、その子、殺されたっていうより、喰われたっていう感じなんだよね」と、続けると
「ふぅん。で、お前は何で死んだと思ったのかね」と返すのが、ここの店長でありこの探偵事務所の主である、自称死神である、本名不明の謎に包まれた人物(笑 性別・種族・年齢全て不明である。が、見た目的におそらく女性ではないかと言われている)
。まぁ、そんな謎めいたところがあるのが逆に良い!と評判のようだが……。実際問題、かなり性格がねじ曲がっているためあまり関わりたくはないのだが、それでも依頼に来る者は来るのだ が。
ちなみに今回の事件に関しては、死神自身も首を傾げざるを得ない状況なのだ まず、そもそもここはどこなのかというところから始まり、何故少女が殺され、喰われるという事態に至ったかというところで既に話が止まってしまってしまっているのだ
「で、君の名前はなんて言うの?」と、少女が青年に聞くと、
「僕は真崎勇人って名前だけど、君は?」と青年が答える。少女も自分の名前を答えて、お互いに自己紹介を終えたあと、
「じゃあ、真崎さん、よろしくお願いしますね」と、少女はにっこりと微笑む。「うん、よろしくね、小鳥遊ちゃん」と言って握手をしようとする真崎の手が、少女に触れる寸前に弾かれる。そして、「きゃああ!」と声を上げて飛び上がる真崎を他所に、にやりとした表情を浮かべる少女。そしてその笑顔のまま真崎を見て言う
「残念ながらあなたには私に触れてもらうことはできないんですよ」と。
「なんだよ一体!何で僕だけ触れないんだ!それにさ、君の格好さ、明らかに変だよ!」真崎が抗議すると、「はあ、それはですね……」と、溜め息混じりに、少女は真崎の方に近づき始める。そして、ある程度近づいた瞬間、少女の全身に電流のようなモノが走ったのが見て取れた 真崎は慌てて後ずさりして離れようとするが、今度は後ろの壁まで後退してしまい、これ以上下がることが出来なくなってしまった。それどころか先程よりもさらに強い電気のようなものが体に走る
「痛い!」真崎が思わずそう叫ぶと、「当たり前です。これは一種のスタンガンなのですから、痛みが無い方がおかしいというものです」
と言いながら再びゆっくりと少女は真崎に近づいていく。「うわああ!」という叫びを上げ、壁伝いで少女から離れるがすぐに少女が回り込んでしまうので意味がない。真崎の背中にひんやりと冷気を感じる。少女がすぐ真後ろまで来てしまったのが分かった。少女はそのまま後ろから抱きつくと、そのまま体を捻る いわゆるベアハッグに近い体制だが、腕をしっかりと回して固定しているため逃れることはもちろん、身動きを取ることすら困難になってしまう
「ぐ、ぐうう」苦悶の喘ぎを漏らしながらも真崎は必死に逃れようともがくが、「無駄なことはやめた方がいいですよ。下手に抵抗をしても怪我をするだけで得をすることはありませんし」と言う少女の声は淡々としていた。そして真崎は、徐々に薄れ行く意識の中「誰か、た、すけ」と、力なくつぶやくのが精一杯だったが、すでに遅かった
「だから言ったでしょう。無駄だって」
そして、真崎は気絶してしまった。
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