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神々の塔

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第十四話 白波五人男その二

「充分に戦える」
「神霊と戦うにはやな」
「万全の状態でだ」
「戦うことやな」
「そのうえで勝つのだ」
 こうも言うのだった。
「我等にな」
「そういうことやな」
「それで準備はいいのか」
 忠信はシェリルに問うた。
「わし等は何時でもだ」
「戦えるか」
「問題はお主達だ」
「万全の状態か」
「しかと宿屋で休んできたか」
 問うのはこのことだった。
「どうなのだ」
「見たところ傷はなく肌も血色がいい」
 赤星は一行のそのことを見て言った。
「髪や毛にもツヤがある」
「あら、見てるわね」
 アレンカールは自分の毛を見つつ述べた。
「毛まで見てくれるなんて」
「見えるからな、しかし万全ならな」
「戦ってええのね」
「むしろ万全でないなら追い返していた」
 そうしていたところだというのだ。
「まことにな」
「そうなのね」
「では万全ならな」
「戦うわね」
「そうしよう」
 こう言うのだった。
「今からな」
「宿屋で休んだわ」
 アレンカールは実際にそうしたことを話した。
「体力も気力も万全でね」
「身体も清めたか」
「お風呂にも入って」
 そうもしてというのだ。
「身体も清めたわ」
「よし、それならだ」
 そこまで聞いてだった、南郷は笑みを浮かべて言った。五人男の中で唯一足を斜めに開いて立っていて見れば首の手拭いを巻いている。
「早速はじめようか」
「今からね」
「遠慮はしねえからな」
「お互いで全力でよね」
「やろうな、頭が言ったけどな」
「貴方達は五人でよね」
「ああ、一柱ずつ戦わずにな」
「来るわね」
「それで負けても恨むなよ」
 南郷は笑ってこうも言った。
「勝ち負けってのはどうしてもな」
「こうした勝負だとつくわね」
「それがつくまで戦うからな」
 そうしたものだからだというのだ。
「それでだよ」
「勝ち負けはつくわね」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「今からね」
「戦おうな」
「それじゃあね」
「これより戦うぞ」 
 こう話してそうしてだった。
 十人は一斉に身構えた、そして五人男も。
 それぞれ傘を畳んで身構えた、それを見てだった。
 羅はいぶかしんでだ、仲間達に言った。
「腰に刀があっても使わんか」
「ああ、五人男は刀の達人でもな」 
 芥川はいぶかしむ顔になった羅に冷静に話した。 
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