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夜勤族の妄想物語 4.異世界ほのぼの日記2~異世界でも夜勤になったので堂々と昼呑みします~

作者:佐行 院
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前書き
 好美に車は必要なかった。 

 

-⑤ 違くない?-

 好美は日本にいた頃、徒歩で通勤できる範囲に住んでいた。朝日を浴びながら散歩感覚でゆっくりと家へ帰る、帰り道の途中に「パラダイス」があるあのスーパーが建っていた。
 そこで割引の惣菜やスナック菓子を買い、それを肴に家での昼呑みを楽しんでいた。少し良い事があった時は缶ビールを1本余分に購入し堂々と呑みながら帰った。こちとら仕事帰りだ、正直朝だろうと知ったこっちゃない。
なので車など必要なかったので免許も持っていなかった、たまに遠くに呑みに行く時は近所のバス停からバスで目的地へと向かえばよかったのだから。
 ただ今、3人は車屋の前にいる。先程も書いた通り好美は免許が無いから買っても運転など出来ないのだが。

好美「車・・・、ですか?私免許持って無いのですが。」
渚「いや違うんだよ、この建物の地下がギルドになってんの。」

 促されるまま好美は「珠洲田自動車」へと入って行った、店主の珠洲田本人がにこやかに3人を迎えた。

珠洲田「いらっしゃいませ・・・、ん?なっちょじゃないか、まさかまた屋台を故障させたのか?」

 渚の使い方が荒いのか今年に入って拉麵屋台を5回も修理に出していた、珠洲田も呆れ顔を見せている。

渚「一昨日の今日で壊している訳がないじゃないか、この子をギルドに登録して欲しくてね。」
珠洲田「この子・・・、いらっしゃいませ。申し遅れました、私ギルドマスターの珠洲田です。ご登録で宜しいですか?」
好美「は、はい。宜しくお願いします。」
渚「スーさん、あたしと態度が偉い違うじゃないか。」
珠洲田「初めてお越しの方だぞ、緊張しているじゃないか。」

 そう言うと、珠洲田が温かな緑茶を振舞いながら説明を行い、好美は言われた通りに登録用紙への記入を進めていった。
 好美の事がタイプなのだろうか、ギルドマスターの珠洲田が珍しく自らずっと対応している。

珠洲田「因みに好美さんはどの様な商売をお考えですか?」
好美「コンビニを作ろうかと。」
珠洲田「そう言えばこの世界にはありませんでしたね、建物のご予定はどちらに?」

 好美はまだこの世界に来たばかりなので場所に全く詳しくない、その上ここでの登録を済ませた後不動産屋へと向かう予定だったので建物など探してもいない。

珠洲田「では建物が決まり次第お知らせ頂けますか、登録が必要なので。」

 そうして珠洲田自動車を後にした3人はその足で早速不動産屋へと向かった。店を始める24時間営業の店を始める旨を伝えると主人は街の真ん中、王宮寄りの所にある建物を紹介した。
 店舗部分となる1階の広さは日本の一般的なコンビニに丁度良く、贅沢にもエレベーターも完備していて物凄く便利だ。屋上部分にはまさかの露天風呂もあるらしい、ただ問題が1つ。

好美「15階建てなんですね・・・。」

 王国で1位2位を争う高さの高層ビルだそうで、残りの階をどう利用するか悩んでしまう。渚は不動産屋の店主に耳打ちで相談し、独断である事を決めてしまった。

渚「1階を店舗、15階に好美ちゃんが住んで残りを不動産屋に預かってもらってマンションとして人に貸すんさね。もう、ここに決めるだろ?」
好美「王宮へすぐ通勤出来そうなのでここにしようかと思ってました。」
不動産屋「では、その様にご契約させて頂きますね。お支払いはいかが致しますか?」

 値段を聞いた後、好美は渚と光の方を向いてから迷わず言った。

好美「現金一括でお願いします!!」

 その後好美達はゲオルのお店へと一度寄ってから、超高額の現金を持って不動産屋に戻り支払いを終えた。店主は唖然としていたが、好美は何となく興奮している。渚が珠洲田を呼び出し、目の前で光と建物に向かって強力な魔力を送り込んだ。建物が一気に綺麗に生まれ変わり1階部分も立派なコンビニになった。親子からの粋なプレゼントだ。
 
 

 
後書き
 開いた口が塞がらないとはこの事だろうか。 
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