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ドリトル先生と山椒魚

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第七幕その一

                第七幕  山の川にいるので
 先生はこの日は動物の皆と一緒に大阪に来ていました、そして梅田の街を歩いてそこから地下鉄で南の方に行ってです。
 法善寺のお店に入ってそこで飲んで食べますが。
 丁度そこに織田作さんが来ました、織田作さんの方から先生に気付いてです。
 そのうえで先生のところに来て言ってきました。
「先生、今日はこっちに来てるんやな」
「あっ、どうも」
 先生も声をかけられて気付いて挨拶を返しました。
「今日は大阪を楽しみたくて」
「それでこっちでやな」
「飲んで食べてます」
「そうやねんな、こうして会ったし」
 それでと言う織田作さんでした。
「相席ええやろか」
「そうしますか」
「ほなな」
 笑顔で言ってでした。
 先生は織田作さんと相席になって動物の皆と一緒に飲んで食べます、織田作さんはお酒は飲まずにソフトドリンクを飲んでです。
 そうして海の幸を中心としたお料理を食べます、ここで先生は言いました。
「大阪は瀬戸内海に面しているので」
「昔からやで」
 織田作さんはお刺身を食べつつ笑顔で言いました。
「海の幸は豊かで」
「そうですね」
「そやから土手鍋もあるしな」
「はりはり鍋もありますね」
「他の海の幸を使った料理もや」
「美味しいですね」
「ただホッケはな」
 織田作さんは今ご自身が食べているホッケの開きを見つつ言いました、見れば今日も着流しにマントと粋な恰好です。帽子は取っています。
「私の頃はなかったわ」
「北海道のお魚ですからね」
「そや、牛肉かてな」
 こちらもというのだ。
「高うてな」
「あまり食べられませんでしたね」
「今はこうしたお店でも食べられるけど」
 それでもというのだ。
「そやけどな」
「昔はですね」
「ステーキなんか夢みたいやった」
「ご馳走でしたね」
「そやった、自由軒でもな」
 織田作さんは行きつけのこのお店のお話もしました。
「ほんまにな」
「召し上がられるのはあのカレーですね」
「そやったわ、ステーキなんてな」
 それこそというのです。
「昔はご馳走やった」
「今はこうしたお店でもあっても」
「ここは炉端で海の幸が売りやけどな」 
 それでもというのです。
「こうしたお店でもあるな」
「牛肉を使ったお料理もな」
「そうですね」
「まあ太宰君はな」
 織田作さんはここでこの人の名前を出しました。
「食べてたやろな」
「太宰治さんですね」
「彼の家はめっちゃ金持ちやからな」
「今も政治家のお家ですしね」
「もうステーキかてな」
「召し上がっていたかも知れないですね」
「そうかもな、あの頃から」
 太宰治さんはというのです。
「ほんまに」
「そうかも知れないですね」
「そこ行くと私はあれや」
 織田作さんはジュースを飲みつつ言いました。
「根っからの庶民でな」
「大阪のですね」
「そやからな」 
 だからだというのです。 
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