夜勤族の妄想物語 4.異世界ほのぼの日記2~異世界でも夜勤になったので堂々と昼呑みします~
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②
前書き
死を覚悟した好美に起こった事とは。
-② 新たな転生者~ここ、どこ?~-
自分に向かって叫ぶ黒野の顔を見ながら落下した好美、死を覚悟した瞬間川が見えたという。いや、どう考えても浅い川の中に寝っ転がっている。全身に冷たさを感じ、好美は体を起こした。びしゃびしゃに水を含み重くなった制服で岸に着くと、一先ず日光で服を乾かす事にした。
そんな好美に女性が近づいて来て声を掛けた。
女性「・・・・・・(異世界語)?」
好美「はい?」
女性「・・・?・・・、(日本語)アナタココデナニシテル?」
カタコトだが女性が日本語で話してくれたので好美は少し安心した。
好美「に・・・、日本語だ。」
この瞬間、神様お得意の『あのスキル』が発動した。転生者には一番有難いとされる『自動翻訳』だ。
いきなり女性の言葉が分かるようになった好美は少し動揺している。
女性「(自動翻訳発動)良かった、あたしらの言葉も分かるみたいだね。」
好美「あ、あの・・・。」
女性「あー、大丈夫大丈夫。あんたが初めてじゃないんだよ。あんた、日本からの転生者ってやつだろ?ウチの旦那もそうだからさ。ここはネフェテルサ王国、取り敢えず着いてきな、そのままじゃ風邪引いちゃうよ。」
好美「あ・・・、はい。」
好美はそのまま女性に付いていく事にした、聞いた事が無い国名にヨーロッパの田舎っぽい風景と服装。なのに何故か軽トラが右往左往する世界に戸惑っていた。
女性の家に着くと、促されるまま服を借りて脱いだ制服を乾かす事にした。するとその女性の旦那らしき男性が帰って来た。
男性「ただいま。」
女性「おかえり、あんた大変だよ。あそこにいる人、新たな転生者だってさ。」
男性が好美に近づき警察手帳を出したので、思わずギョッとしてしまう好美。
男性「ふむ・・・、初めまして。この国で警察署長をしています。林田と申します。あそこにいるのは妻のネスタです。宜しければお名前をお伺い出来ますか?」
好美「倉下好美・・・、です。」
好美が恐る恐る名乗ると林田夫婦は優しい笑顔でテーブルへと誘った、温かな紅茶の良い匂いが広がる。
ゆったりとした時間を少しの間過ごしていると、日本人らしき女性達が2名程夫婦の家へと入って来た。どうやら好美より先にこの世界に転生してきた先輩らしい。
女性①「川にいたってのはあの人ですか?どう見てもこの世界の服装を着ているみたいですけど。」
ネスタ「あの子さね、服はびしょびしょだったから今乾かしてる。」
会話に耳を傾けていると、どうやら女性達は親子で思った通り先輩みたいで好美は少し安心した。同じ境遇の人間がいると本当に助かる。
好美と同じテーブルを囲んだ女性達はにこやかに微笑み自己紹介をし始めた。
女性①「初めまして、私はダルラン光です。ただ皆には旧姓の吉村で呼ばれてます、貴女と同じ転生者です。隣は私の母、一緒に住んでいます。」
女性②「赤江 渚と言います、よろしくね。」
好美が2人に自己紹介し終えたと同時にネスタから意味が深そうな質問が飛んだ。
ネスタ「その子・・・、「例の儀式」終わってる?」
光「分かんない、ちょっと聞いてみるから。」
光が指を鳴らすと、何故か理解出来ていたネスタの言葉が急に分からなくなった。部屋の雰囲気に全く合わないテレビからの音声も理解できない。転生してから幾年も経った光はどうやら一時的にだが神に与えられた能力『自動翻訳』を遮断出来る様になっていた。
光「(自動翻訳一時解除・日本語)あたしたちにしか分かってもらえない事だから日本語で話すね、私達転生者は皆同じ1柱の神様によってこの世界に送られたの。そして暫く時間が経った後、説明を何かしら受けると思うから。」
渚「(日本語)例えば「別に何もしなくて良い」とかね。」
後書き
神の出番が・・・。
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