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地方に移って

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第一章

                地方に移って
 有藤歩黒髪を奇麗なショートにしていて穏やかで優しい顔立ちをしている彼はマッサージ師をしている、背は一七二程で痩せていて卵型の顔が特徴的だ。
 彼はそれまで東京でマッサージ師をしていたが。
「もうこっち多いからな」
「競争激しいのね」
「それで誘われたんだよ」
 母に電話で話した。
「茨城の方にな」
「そっちでお仕事しないかって」
「ああ、こっちで店開いてるけれど」
 東京でというのだ。
「今言った通りマッサージ師多くて競争激しくて土地代もな」
「東京高いわね」
「テナント代も馬鹿にならないからさ」
「茨城の方に行くのね」
「普通に暮らしていても物価高いし」
 東京はというのだ。
「だからさ」
「これからは茨城ね」
「そっちでやるよ、田舎って言ったらそう言っていいけれど市だしさ」
 今度の仕事先そして住むところはというのだ。
「正確なこと決まったらまた連絡するよ」
「ええ、そっちでも元気でね」 
 母は息子にこう言った、そしてだった。
 有藤は東京から茨城のある街に転居してそこでマッサージ師として働くことになった、この街にマッサージ師は少なく。
「今日も来たよ」
「宜しくな」
「最近疲れが酷くてね」
「ちょっと頼むわね」
 客は東京にいた時より遥かに多かった、そして。
「テナント代も物価も安いですね」
「というか東京が高過ぎるんだよ」
 彼を誘った人が答えた、恰幅のいい老人でたまたま東京に来て彼の店でマッサージを受けたのが縁で誘いをかけたのだ。 
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