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飲むと地が出た

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第一章

                飲むと地が出た
 原清音は薄茶色の髪の毛を首の真ん中辺りの長さで切り揃えている、大きな目で細く長い眉に小さな頭とピンクの小さな唇を持っている。背は一五四程で膝までのタイトスカートがかなり似合っている。
 仕事に対する姿勢は真面目そのもので寸分の隙もない位だ。その仕事ぶりは冷徹そのものであると言っていい位だ。
 その彼女の二つ下の後輩である住友涼面長で細い眉と温かい光を放つ目が印象的な明るい顔立ちで茶色の髪の毛を少し長くして右で分けたセットしている一八〇位のすらりとしたスタイルの彼はよくだった。
 仕事の時に注意されていた、清音は決して怒らないが。
 細かく普通ならいいだろうということでも指摘してきた、それは周りが見ても厳し過ぎるというもので。
 清音にだ、新入社員の前田遥小柄で茶色っぽい髪の毛をショートヘアにして明るそうな目と微笑んだ感じの小さな赤い唇とすっきりとした頬と顎を持つ彼女はよくこう言っていた。
「主任住友先輩に厳し過ぎますよ」
「お仕事だから当然よ」
 清音はにこりともせず言葉を返すのが常だった。
「それに注意しないとね」
「先輩も気付かないですか」
「いつも言ってる通りにね」 
 口調も冷徹なものである。
「だからよ」
「そうですか、ですが」
 遥は今回こう言った。
「主任今度です」
「今度。何かしら」
「先輩とお仕事の後飲みに行ったらどうですか?」
「住友君となの」
「はい、そうしたらどうですか?」
「アフターファイブね」
「先輩が残業されるといつも主任も一緒に残って」
 遥はこのことも言った。
「主任が残業された時は先輩もで」
「うちの会社あまり残業ないけれどね」
「基本ホワイトですからね、うちは」
「有り難いことにね。それで残業した時に」
「残業しなくてもですよ、アフターファイブにどうですか?」
「そうね」 
 遥の目に真面目なものだった、それでだった。
 清音は次の日仕事が終わると住友それに遥と他にも自分と一緒に働いている部署のスタッフ達と一緒に会社の近くの居酒屋に誘ってだった。
 一緒に飲んだ、ビールを一口飲むとだった。
 清音はその瞬間ににこにことしだしてスタッフの面々のいいところを次から次に饒舌に出して褒めてだった。
 特にだ、いつも注意している住友にだった。
「本当に努力家で熱心で真面目でね」
「僕がですか」
「期待してるわ、どんどん頑張ってね」
「は、はあ」
 いつも注意されている住友は清音に褒められて唖然となった、それでだった。
 店の内装や酒それに料理まで笑顔で褒めだした清音を横目で見つつ遥に尋ねた。
「主任別人さんかな」
「いえ、実はですね」
「実は?」
「女子社員の間で有名なんですよ」
 遥はその住友に笑って話した。 
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