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イベリス

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第九十四話 牛丼を食べてその十一

「それがどんどんね」
「悪くなって」
「遂にはね」
「そんな人になったのね」
「みたいよ、若い頃はまだましだったのが」
 それがというのだ。
「どんどん悪くなって」
「遂にはそこまで酷くなったの」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「遂に誰からも見放されて」
「匙を投げられて」
「行方不明よ」
 そうなったというのだ。
「今やね」
「つまらない人生ね」
「恰好悪くてね」
「そんな人生歩きたくもないわね」
「じゃあ歩かないことよ」
 それならとだ、愛は咲に告げた。
「こうはなるまいってね」
「反面教師にして」
「そう、まあ普通はね」
「そんな風にはならないのね」
「感謝の気持ちを忘れないで」
 そうしてというのだ。
「真面目にね」
「やっていったら」
「ここまで酷くならないわよ」
「そうなのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「咲ちゃんも努力していったら」
「その人まではなのね」
「酷くならないから」
「だといいけれどね」
「だってこの人ずっと紐ニートでね」
 その人生ではというのだ。
「家の中で本読んでテレビ観るだけで」
「それだけで」
「何もしてこなかったから」
 それでというのだ。
「勝手に勘違いしてね」
「そんな人になったから」
「普通に学校行って働いて」
 そうしてというのだ。
「その中で努力していったら」
「そんな人にはならないのね」
「そうよ」 
 絶対にと言うのだった。
「まずね」
「努力は自分を磨くことね」
「ええ、それとね」
「それと?」
「人と会って見てお話すると」
 そうすると、ともだ。愛は咲に話した。
「一番磨かれるそうよ」
「そうなの」
「これゲバラが言ってたけれど」  
 チェ=ゲバラのことだ。キューバ革命の英雄であり自ら進んで危険な任務に志願する様な人物であった。
「人間はダイアモンドなのよ」
「ダイアモンドね」
「ダイアを磨けるのってダイアだけでしょ」
「この世で一番硬いからね」
「だから人間は人間と会ってね」
 そうしてというのだ。
「会ってお話をして一緒に何かをする」
「そうするとなの」
「磨かれていくってね」
「ゲバラは言ったのね」
「私そのお話を聞いてそうなのねって思ったのよ」
「人間は人間と会ってなのね」
「磨かれていくものよ、だから私も咲ちゃんもね」 
 二人共というのだ。
「これからも人と会ってね」
「お話をして一緒に何かしていって」
「磨かれるべきよ、今お話した人はそれがよ」
「なかったのね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「色々な人に会っていこうね、ただ悪い人に会ったら」
「それも磨かれることね」
「見てるだけにして真似はね」
「しないことね」
「そう、それもまたね」
「磨かれることね」
「そうなるみたいだから、じゃあね」
 駅のそれぞれが今向かうべき場所に行く分かれ目に来た、そこで咲に笑顔で言った。
「またね」
「うん、また一緒に遊ぼうね」
「牛丼食べようね」
「二人でね」 
 咲は愛に笑顔で話した、そして今日の牛丼はダイアモンドの価値があるかも知れないと思った。そう思いつつバイト先に向かったのだった。


第九十四話   完


                    2023・1・8 
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