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馬になった父

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第一章

                馬になった父
 谷崎家の一家はこの時知り合いの結婚式に出席していた、そこには四歳になったばかりの一家の息子である住夫もいた。黒髪をショートにしていてあどけない顔で半ズボンの子供用のスーツを着ている。
 その彼を見てだ、八条鉄道の駅員をしている父の碧短い眉に面長の顔で小さ目の二重の目にオールバックの黒髪と一八〇の痩せた身体の彼が言った。
「住夫ははじめてだよな、結婚式」
「ええ、私達もこの子が生まれてからよ」
 妻で駅の近くの総菜屋でパートをしている美佐代が応えた、黒い髪の毛を短くしていてはっきりとした顔だ里で睫毛は長く丸めの顔で背は一五三センチ位でドレスの上からでもわかる見事な胸と腰つきである。
「かく言う私も結婚してからね」
「そう言われると俺もだな」
「そうでしょ」
「ああ、結婚式に参加するなんてな」
「そうでしょ」
「そう思うと住夫にはいい経験だな」
「こうしたところに出るのもね」
 一家の為に用意された席で話した、一家はそれぞれの両親と共にその場で新郎新婦を中心とした晴れの場を楽しんでいた。
 そんな中で新郎の紹介も為されたが。
「新郎さん騎手なのね」
「そうなんだよ、弟の同級生でな」
 碧は妻に話した。
「高校を出てな」
「そうした学校に入って」
「それでなんだよ」
「騎手になったのね」
「そうなんだよ」
「なるのが大変なお仕事よね」
「なったからもな、体重のこととか気にしないといけないからな」 
 だからだというのだ。
「本当にな」
「大変よね」
「そうなんだよ」
 これがというのだ。
「本当にな」
「恰好いいお仕事だけれど」
「なるまでも大変でな」
「なってからもなのね」
「そうなんだよ」
 夫婦で式の食事も楽しみながら話した、その中で。
 住夫は騎手と聞いてだ、父に尋ねた。
「お父さん、騎手って何?」
「ああ、馬に乗るお仕事だよ」 
 父は息子にわかりやすい様に話した。
「そうなんだよ」
「お馬さんに乗るんだ」
「あそこにいる人はね」
 新郎を見つつ話した。
「そうなんだよ」
「じゃあお母さんと同じだね」
 息子はここでこんなことを言った。
「それだと」
「何でお母さんと一緒なの?」
 母は息子のその話にフォークとナイフを止めて尋ねた。 
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