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ビンドポピアス世界線破却同盟①真実を知る覚悟があるなら、今ここで私と共に。失うものはあるかもしれないが、それでも進むべき道はある。闇を超えて、未来をつかめ―。

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神の使い

「そうなのか」
「それで?俺はこれから、どこへ行けばいいのでしょう」
「そうだな、ではとりあえずは、『魔法少女まどか☆マギカ』を履修してくれ」
「了解」
こうして、真也の転生の旅は始まった。果たして彼はどこに行き着くのか?その結末を知る者は誰もいない。
第一章 転生と目覚めの狭間
「まあ待て」
「何ですの?」
ソフィアは立ち止まって振り返った。
そこは森の中。時刻は真夜中。辺りには月明かりしかなく、その光が無ければ何も見えない闇の中であった。
しかし、彼女には見えた。目の前に、漆黒のドレスを纏う女性の姿があったのだ。闇の中でさえも映える銀髪。白磁のように白い肌、長い手足はまるでモデルのようだ。
彼女の顔を見ることはできなかったが、彼女はソフィアの方を見つめていた。だがそこには悪意も敵意もない、何か別の物を感じるだけだった。そして真也は【反物質召喚】の術を使った。ソフィアと抱き合って二人は爆死し、この世からもあの世からもあらゆる世界から完全に消えてしまった。ソフィアの意識は次第に薄れていった……。
(ここは?)
真也が目を開けるとそこは薄暗い部屋の中だった。真也の眼前には何も見えず、壁か床か天井かそれすらもわからない暗闇が広がっていた。
(なんだ、これは)
混乱していると、ふいにどこか遠くから声が聞こえてきた。「起きてください」
声の聞こえる方を見ると、一人の少女が真也の前で立っていた。
「え?」
「おはようございます」
「え?」
状況が把握できずにいる真也は困惑した表情を浮かべた。真也は少女に向かって話しかけようとした。「君は誰?」「僕はどこから来て、今ここに居るんだい?」
だが、口から出た言葉は意外なものだった。「私の名はとりんさま」そう名乗ると少女は頭を下げた。
(なぜこの子は僕の名前を知っているんだ)
ソフィアは不思議そうな顔をして真也の前に立った。「あなたの名前は真也よね?」「ああ」
「私の名はソフィア・サーヴィス」
ソフィアは自分の名前を名乗った。すると今度は真也が戸惑う番だった。「ソフィアってとりんさまだったんだね」「うん」
(どういうことだ。俺は死んだんじゃなかったっけ?それに、俺の声、女みたいなんだけど……まさか、若返って生まれ変わるとか? いや、でもおかしいぞ。死んだ時の俺は17歳の高校二年生で間違いない。ということは今の俺は12歳くらいということだろうか。だとしたら身長が低い。さっきから視界に違和感があったがどうりで足元が暗いわけだ)
自分の置かれた立場を考察し始めた時、「真也様、聞こえますか」
「とりんさま?」
先程までと違い、凛とした声が響き渡った。「とりん、誰なの」
「私よ」
「私って誰なの」
(私=神、なのか?)「神である私が説明する。お前たち二人は自殺した」
「はい」
神と名乗る人物からの質問に、二人とも素直に答える。神と名乗った人間は少し苛ついたような声色で続ける。
「私は神である」
ソフィアは神を名乗る人物に尋ねた。
「あなたは何なの?」
「私はお前たちがいうところの神であり」そこで神という人物は言い淀む。「……その神ではない。もっと高次の存在だ。お前たちに分かりやすく言うならば、世界そのものと言ったほうがわかりやすいだろう」
ソフィアと真也はその発言を聞き驚いたが納得もし始めていた。
ソフィアは言った。「じゃああなたが『世界の設計者』さんね!」「違う! 誰が世界なんか作るもんですか!!」「じゃ、誰なんだろう?」
ソフィアの問いかけに答えたのはとりんと呼ばれる人物であった。(あれ、神様ってこんな人だったっけ?)
真也の心を読んだように神と名乗る人物は言った。「この娘はこういう存在なんです」
「はい」
「そうです」
(やっぱりそうだ、僕の知ってる女神じゃない)「まあいい」そういうとその人物は話を続ける。
「お前たちのいた地球という惑星には様々な人間が住んでおり、多種多様な文化文明を築いていたが、あるとき『とある思想』を持った集団が台頭してきた。彼らは、他の人間より自分たちの方が優れていて、偉くて、だから他人種を支配して自分達を頂点としなければならない、とね」
(それはある種宗教のような物では)
「そう。その通りです。しかし、彼らの考え方は非常に歪んでいたのです。なぜなら彼らは、自分たちこそが世界をコントロールすべき特別な存在であると思い込み、そして自分たちの行いを正義として、世界に対して戦いを挑んできたのです。彼らが何を考え、どんな事をしていたのか、その一部を紹介しましょう」
真也は黙って聞くことにする。
(嫌な予感がするぞ)
「まず彼らは、自分以外の種族の男女を捕まえて交配実験を始めたのです」
ソフィアと真也の顔に衝撃が走る。「交配実験!?」「交配実験!? えー!!?」 
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