| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十三部第四章 戦線崩壊その十六

「それもな」
「しかもですか」
「姿が見えないな」
「そうしたですか」
「モグラ叩きだな」
 それになるというのだ。
「言っておくけれど姿が出たモグラを叩くんだよ」
「それじゃあ」
「しかも攻撃してくるな」
「それって一方的にやられますね」
「その通りだよ」
 曹長は伍長に笑わずに否定した。
「例えその攻撃を防げてもな」
「やっぱり一方的ですね」
「そうだよ、本当にな」
「今の俺達の状況は」
「一方的にやられるゲリラ戦だよ」
 それを仕掛けられているというのだ。
「こんなに嫌なことはな」
「ないですね」
「全く、何とかしたいな」
「本当にそうですね」
「あがいてもな」
「けれどあがいてもですね」
「それをしてもな」
 曹長は伍長にまた話した。
「病気でもそうだろ、治療方法がわからないとな」
「何をしてもですよね」
「どうしようもないだろ、あがく中で色々見付かったりするけれどな」
「そのあがく間にもですね」
「オムダーマン軍は仕掛けてきているからな」
 アッディーン、彼がというのだ。
「このままだとな」
「どうしてもですね」
「ああ、損害ばかり増えて」
 そしてというのだ。
「手遅れになる可能性の方が早いな」
「そうですか」
「それもかなりな」
 そうした状況だというのだ。
「残念なことにな」
「そうですか」
「まずいな、この状況は」
 さらに言う曹長だった。
「またな」
「負けますか」
「俺は高校出て十九でな」
 その歳でというのだ。
「北のユーブ共和国ってあっただろ」
「はい、二十年前に滅んだ」
「最初はあの国の軍隊にいてな」
「その時からですか」
「ずっと軍隊にいて勝利も敗北もな」
 その両方をというのだ。
「味わってきていてな」
「それで、ですか」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「俺達今回もな」
「負けますか」
「その感じがするな」
「そうですか」
「ああ、嫌な感じだ」
 この感覚もというのだ。
「本当にな」
「だとすると」
「ここで負けるとな」
 曹長はさらに話した。
「もうな」
「ティムールは、ですね」
「かなりな」
 それこそというのだ。
「まずいな」
「そうですよね」
「だから負けられないけれどな」
「今は、ですか」
「言った通りだよ」 
 まさにというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧