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仮面ライダー龍騎 夢に向かえ

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第九章

「面白そうだな、ゲームみたいな感じか」
「わかってるわね。そうよ」
 女はにこりと笑って答えてきた。
「それじゃあ元気よく」
「戦えるのか」
 浅倉も反応を見せてきた。
「このカードを使えば」
「そう、仮面ライダーになってね」
「仮面ライダー」
 三人はその言葉を聞いてそれぞれの口で呟いた。
「あの都市伝説の」
「人知れず怪物を倒していっているっていう」
「そう、あれなのよ」
 女はまた述べてきた。
「それになっちゃって。それでぱっぱっと」
「まあそんなことはどうでもいいや」
 芝浦が最初に言った。
「面白そうなゲームじゃないか。なら」
 彼が最初に構えに入った。
「そうだな。俺も」
 次に浅倉も。
「戦えるのならそれでいい」
 芝浦は右腕を拳にして前でかざす。浅倉は両手をクロスさせ右手を前にやる。何故か蛇を思わせる動きだ。その右手をスナップさせ奥に持って行った。
 二人はそれぞれ腰のベルトにカードを入れる。するとライダーに変身した。
 芝浦は犀に、浅倉は蛇に似たライダーであった。見れば浅倉のそれはどころなくけだるそうな感じである。
「やったわね。お見事」
「それでだ」
 浅倉は囃し立てる女に対して言う。
「後はこいつ等を倒せばいいんだな」
「そういうこと。倒せば倒す程いいことがあるかも」
「そんなことはどうでもいいがな」
 浅倉はそれには構わなかった。彼が考えていることはただ一つであった。
「こいつ等を倒せるんならな」
 そう言ってすぐにモンスターに襲い掛かる。そしてカードを入れて出してきた剣で切り裂いていく。
「じゃあ君も」
「ああ」
 芝浦は女の言葉に応えた。
「こいつ等を倒すゲームだな」
「そういうこと。頑張ってね」
「よし!」
 彼は変身前の姿からは想像もできない力でモンスター達を倒していく。まずは二人のライダーはかなりの力であった。
 しかし霧島は。まだ動こうとはしなかった。
「あれ、貴女は」
「変身してどうなるのよ」
 彼女はそう女に問う。
「仮面ライダーになって敵を倒して」
「実はね。最後の目的を達成したらいいことがあるのよ」
「いいこと」
「そうよ。例えばね」
 霧島の顔を見上げて言ってきた。彼女は女にしてはかなり背が高い。だから見上げる形になっているのである。
「貴女のお姉さんの病気を治すことだってできちゃいまーーーーす」
「何でそれを知ってるの?」
「諸般の事情で。それでいいわよね」
「どちらにしろ戦えってことね」
「残念だけど」
 今度は顔を俯けさせた。しかしよく見ればその動きは演技であった。
「そうなっちゃってるの」
「わかったわ。けれど約束は」
「ええ。わかってるから」
 とん、とその背を押してきた。
「やっちゃって。貴女は仮面ライダーファムよ」
「仮面ライダーファム」
「そう、その名に負けない活躍をしてね」
「じゃあ」
 両手を優雅に身体の前で動かす。まるで鳥の動きのように。その後で右手を左肩のところにやる。そして叫ぶ。
「変身!」
 光が包み変身した。彼女は白いライダーであった。
 
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