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星河の覇皇

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第八十三部第四章 戦線崩壊その十四

「程よい具合にダメージを与えていく、その後でだ」
「攻撃用意が出来ている通常艦艇の艦隊を動かす」
「そうしていきますね」
「然るべき時が来れば」
「その時にこそ」
「そうする」
 こう言ってだ、今はだった。
 アッディーンはその艦にのみ攻撃を行わせていた、その中でティムール軍は傷を増やしていった。それでだった。
 ティムール軍の将兵達は損害だけでなく消耗も感じていた、何時何処から来るかわからない攻撃に疲弊していっていた。
 艦隊はともかく防衛基地や防衛ラインそして後方の補給基地もかなりの損害を出してその中でだった。
 将兵達は疲弊しきっていた、ある伍長は乗艦の中で曹長に言った。
「正直この状況は」
「辛いな」
「はい、何時何処から魚雷が来るか」
「わからないな」
「しかもです」
 それにというのだ。
「俺達はその対応に追われて」
「普通に戦うよりもな」
「疲れています」
「全くだな」
「どうもです」
 まさにというのだ。
「この状況が続くと」
「より疲れてな」
「そしてですよ」
「戦えなくなるな」
「そうなりますね」
「ああ、俺もな」
 四十代半ば程の曹長は二十代後半と思われる伍長に言った。
「今かなり嫌な気持ちだな」
「嫌な疲れ方ですね」
「こんな神経使う戦いは嫌いだよ」
「ですよね」
「敵に好き放題攻められてな」
「損害ばかり出して」
「一方的なうえにな」
 それにというのだ。
「相手を攻めようにもな」
「こっちはですよね」
「攻められないからな」 
 だからだというのだ。
「見えないだけに」
「魚雷をビームで叩き落しても」
「それ位だろ」
 出来ることはというのだ、自分達が。
「それだとな」
「ストレスばかり溜まりますね」
「ああ、このままだとな」
「もっとストレスが溜まって」
「耐えられなくなるな」
「それが怖いんですよね」
「ストレスは馬鹿にするなよ」   
 こうもだ、曹長は言った。
「本当にな」
「色々体調に関係しますよね」
「ああ、それが怖いんだよ」
「ストレスが溜まってると」
「それで色々沈むからな」
「参りますしね」
「精神的にもな、だからな」 
 それ故にというのだ。
「正直今の状況はな」
「厄介ですね」
「オムダーマン軍も嫌な仕掛け方をしてくるな」
「あれですよね、アッディーン大統領は」 
 伍長はここで今の自分達の敵である彼のことを話した。 
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