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仮面ライダー龍騎 夢に向かえ

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第五章

「何だ、これ」
 佐野はそのカードを見て首を傾げさせた。だがどういうわけか身体が自然に動いた。
 高見沢は右腕を前にやり佐野は人差し指と小指を立たせた両手を身体の前でクロスさせて右手を鹿の角に似せて前にかざす。北岡はその両腕を拳にして体の前で交差せた。そして右腕を上に、左腕を下にした状態で言う。三人それぞれの言葉であった。
「変身!」
 無意識のうちに言う。すると彼等はそれぞれ仮面を着けた騎士達になったのであった。
「何だ、これは」
 高見沢が最初に自分の今姿を見て述べた。
「仮面ライダーに似ているが」
「そうじゃないんですか?」
 佐野がそれに応えて言う。
「俺達仮面ライダーになったんですよ」
「しかし何故だ」
 高見沢はそれに疑問を呈する。
「いきなりなるとは」
「詳しいことはわかりませんがね」
 北岡がその横から言ってきた。
「けれど今はそんなことを言ってる場合じゃないですよ」
「そうですよね」
 それに佐野が頷く。
「周りにいる化け物達を何とかしないと」
「そうだな。それでは」
 何時の間にか彼等にはそれぞれの怪物がついていた。北岡には牛の、高見沢にはカメレオンの、そして佐野にはガゼルの大群がそれぞれ。だが彼等はその怪物達を地の底に帰らせて今は自分達だけで闘うのであった。
 佐野と高見沢は格闘で、北岡は銃で戦う。まずは順調に敵を倒していく。
 その間にあの黒いライダーも敵を倒していく。見ればかなりの強さであった。
「あのライダー」
 北岡は戦いの中で呟いた。
「何なんだ。どっかで見た記憶があるが」
「先生、覚えているんですか?」
「いや」
 だが由良の言葉にはあやふやな返事であった。
「そう言われると。弱ったな」
「そうなんですか」
「ああ。けれど何だあの強さは」
「凄いですよね」
 北岡もその銃で敵を次々に倒していくが黒いライダーは別格であった。尋常ではない強さで敵を薙ぎ倒していくのであった。それはまるで鬼神の如きであった。
 戦いは終わった。四人のライダーの活躍でそれ自体は呆気なくといった感じであった。しかし大きな問題がまだ残っていた。
 それは黒いライダーのことである。彼は一体何者なのか。三人がいぶかしんでいるとそこに一人の青年がやって来た。そして彼等に声をかけるのであった。
「はじめまして」
「誰だ、君は」
 高見沢が彼に問うた。
「いきなり出て来たが」
「そういえば」
 その言葉を聞いて佐野も気付く。
「君はじめて見るよ。一体誰なんだ?」
「貴方達を見守る者です」
 青年はこう語ってきた。
「俺達を」
「はい」
 そして北岡にも答える。
「そうです。私は貴方達を見守る者」
「そんなこと言われても」
 佐野はあからさまにいぶかしんでいた。それを言葉にも出す。
「おかしいんじゃないの?頭が」
「いや」
 しかしそれは高見沢が否定した。彼も伊達にコンツェルンの総帥を務めているわけではない。これはわかっていた。
「違うな。彼はおかしくはない」
「おかしくはないって」
「わかるだろう」
 佐野を見て問うてきた。
「嘘は言っていないのが。だからといって薬を飲んでいるわけでもない」
「ですね」
 その言葉に北岡が頷いてきた。
「見たところ何処にもおかしなものはありません」
「ってことは」
 佐野は二人の話を聞いてあらためて言う。
「貴方は何はともあれ」
「少なくともライダーについては知っています」
 彼は言う。
「この黒いライダーもまた」
 黒いライダーが青年の側まで来た。そして彼の横に立つ。
「貴方達と同じなのですよ」
「俺達と」
「そうです。貴方達は戦う運命にあります」
 北岡に答える。今度は佐野が言ってきた。
 
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