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神々の塔

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第十話 英雄もまたその八

「威力もな」
「かなりやな」
「防壁を出しても」
「粉々に砕けてな」
「少しだけや」
 こう言うだけしかというのだ。
「威力を弱めんかった」
「そやな」
「この人も強いわ」
 ハールーンを見て言うのだった。
「ほんまにな」
「伊達に神霊やないな」
「そやね」
「はっはっは、そうは言うがだ」
 ハールーンは自分達を前にして言う彼等に鷹揚に笑って返した。
「そなた達は強い」
「そう言ってくれるか」
「余の攻撃を弱めるとはだ」
 このこと自体がというのだ。
「見事だ」
「そうなんやな」
「如何にも、しかも戦ははじまったばかり」
 ハールーン=アル=ラシードとのそれはというのだ。
「これからどう戦うかだ」
「大事なんはか」
「左様、それを見せてもらおう」
「そういうことか、ほなな」
「この神霊との戦いは時間をかけると不利やな」
 芥川はその目を鋭くさせて言った。
「そやからな」
「ここは一気にやな」
「決めるべきや」
 シェリルにも真面目な顔で話した。
「まさにな」
「そうか、ほなここは」
「思い切った攻撃をな」
「全員で仕掛けるか」
「あれをやるか」
 芥川は考える顔で述べた。
「全員で隕石の術を使うか」
「あれをやるんか」
「そや、只でさえ強力な隕石の術をな」
 これをというのだ。
「十人全員で使えば」
「かなりの威力になる」
「それは十倍どころやなくてな」
 十人で使えばというのだ。
「力の強いものが使えば」
「十の二乗や」
「百倍になるな」
「それだけの威力やとな」
「ハールーンさんでもやな」
「一気に倒せる、そやからな」
 ここはというのだ。
「それでやるべきか」
「そやね」 
 綾乃は芥川の策に十人のリーダーとして応えた。
「ここは悠長にやったらあかんわ」
「長期戦はな」
「長期戦をすべき時もあるけど」
「このカリフさんにはな」
 相手がカリフ、アッラーの代理人であったことからも話した。アッバース朝最盛期のカリフであったことが知られている。
「時間をかけるとな」
「どんどん強い攻撃出して」
「不利になるからな」
「十人全員で隕石の術を使って」
「その二乗、百倍になった威力でな」
「一気で倒すんやね」
「そや、その間もカリフさんの攻撃は来るが」 
 強力なそれがというのだ。 
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