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ピュアマーキュリー

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第三章

 ヘルメスが愛を語る言葉も聞こえた、それに応えるうら若き声も、その声を聞いてそうしてだった。
 アポロンは遂にだ、従神達に言った。
「間違いないな」
「はい、ヘルメス様はですね」
「そうだ、純粋にな」
「ある方を愛しておられますね」
「それがわかった、館の中は見ていないが」
 そこにあるヘルメスの具体的な様子をというのだ。
「しかしな」
「それでもですか」
「真実はわかった」 
 まさにというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「認める、あの者もな」
 ヘルメスもというのだ。
「純粋に誰かを愛することがある」
「嘘を吐かれる方でも」
「そうだ、いい意味でも悪い意味でも知恵が回りな」
 策略にも長けているがというのだ。
「嘘も吐くが」
「誰かを純粋に愛することもですね」
「ある」
 こう言うのだった。
「確かにな」
「あの方でもですね」
「そうしたこともある、ではな」 
 従神にあらためて話した。
「オリンポスに帰ろう」
「そうされますか」
「そしてだ」
 アポロンはさらに言った。
「このことは特にだ」
「言われないですか」
「言うこともない」
 特にというのだ。
「人の恋路のことなぞな」
「そうですか」
「それを言えば私もだ」 
 アポロンは笑って自分のことも話した。
「何かとな」
「ありますか」
「そなたも知っておろう」
「言うこともないかと」
 従神も笑って応えた。
「そのことは」
「そうだな、オリンポスでこちらで何もない神はな」
「あまり、ですね」
「いない、我が姉妹達とだ」
 アテナそしてアルテミスと、というのだ。
「叔母上のな」
「ヘスティア様ですね」
「あの方位だ、だから言うとな」
「大変なことになりますね」
「だから言わない、そういうことでな」
「オリンポスにですね」
「帰るぞ、そして何でもなくな」
「ヘルメス様ともですね」
「会うとしよう」
 こう言うのだった。 
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