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夢幻水滸伝

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第二百八十九話 チェサビーク湾海戦その十四

「損害が増えるだけや」
「ではですね」
「撤退ですね」
「そうしますね」
「ああ、アナポリスに帰還して」
 撤退してというのだ。
「そこでな」
「籠城してですか」
「そうして戦いますか」
「ここは」
「ああ、そしてな」 
 そのうえでと言うのだった。
「この湾の戦何とかな」
「巻き返す」
「敵を退け」
「そうしてですね」
「絶体絶命でもや」
 その状況に陥ってもとだ、ホーソーンは強い声で言った。
「諦めんことや、ゲームセットまでや」
「試合は行われますね」
「どんなスポーツも」
「最後まで」
「九回裏ツーアウトツーストライクからでもや」
 野球にも例えて話した。
「逆転出来る、そやからな」
「今はですね」
「アナポリスに戻り」
「そうしてですね」
「籠城戦するで、陸軍も水軍も空軍もな」
 その全ての戦力をというのだ。
「総動員してな」
「籠城して」
「逆転しますね」
「この状況でも」
「そうするで、ほな撤退や」 
 防壁系の術をこれまで以上に出してかつだった。
 艦隊をアナポリスまで撤退させた、動ける艦艇は全てそうさせて脱落する艦艇は最低限に抑え何とかアナポリスまで追撃を振り切ってそうした。
 それを見てだ、メルヴィルは途中まで追撃を命じていたが。
「負傷者戦死者の救助と収容や」
「それに移りますね」
「ああ、そしてな」
 それでとだ、ジェーンに話した。
「戦死者は敵味方問わずな」
「復活させますね」
「負傷者は回復させてな」
「そうしますね」
「戦が終わったらこちらの戦力になるんや」
 今は敵dえあってもというのだ。
「そやからな」
「今はですね」
「もう追撃しても効果的なダメージは与えられん」
「ホーソーンさんの撤退は見事なので」
「流石バイキングやな」
 海で戦う職業の者だとだ、メルヴィルは素直に賞賛した。
「最低限の損害でや」
「撤退しましたね」
「撤退するタイミングもよかったしな」
「そうですね、では」
「今はそれに移る、そしてな」
 メルヴィルはさらに話した。
「応急修理と補給が終わったら」
「アナポリスですね」
「そっちに向かうで」
「わかりました、そしてですね」
「アナポリス攻略や」
 次はというのだ。
「ええな」
「はい、それでは」
「死傷者の救助と収容や」 
 こう言ってだった。
 メルヴィルは海戦から次の行動に移った、チェサビーク湾の海戦は彼等の勝利に終わったが今はその余韻を楽しんではいなかった。


第二百八十九話   完


                     2023・1・8 
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