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ドリトル先生と山椒魚

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第三幕その四

「普通はだよ」
「襲わないんだ」
「大人しいのね」
「妖怪のオオサンショウウオも」
「そうなのね」
「そうだよ、あと小説でもね」 
 先生は今度はそちらのお話もしました。
「井伏鱒二の山椒魚という作品があるけれど」
「その山椒魚がなんだ」
「オオサンショウウオなのね」
「まさに」
「その描写を見たらね」 
 小説の中のそれをというのです。
「まさにだよ」
「へえ、そうなんだ」
「オオサンショウウオなんだ」
「その小説でも」
「そう言われているし僕は読んでもね」
 先生ご自身がです。
「そう思うよ」
「先生が読んでもだね」
「そうなんだね」
「その小説の山椒魚はオオサンショウウオなんだ」
「そうなんだ」
「ほぼ確実だと思うよ」 
 そうだというのです。
「ちなみに井伏鱒二という人は広島出身で太宰治のお師匠さんなんだ」
「へえ、そうなの」
「太宰のお師匠さんだったんだ」
「それはまた奇遇だね」
「あの人と縁があるなんて」
「太宰治は日本の近現代文学を代表する人の一人だけれど」
 小説家として、というのです。
「その太宰のお師匠さんだったんだ」
「そうだったんだ」
「太宰のことは僕達も知ってるけれど」
「その名前聞いてるけれどね」
「何かとね」
「その太宰が学生時代に井伏の作品に触れて」
 そうしてというのです。
「衝撃を受けて上京して作家さんになって」
「それからなの」
「井伏の弟子になったんだ」
「そうだったの」
「そうだよ、その人の作品にも出ているよ」 
 オオサンショウウオはというのです。
「童話にも出ていてね」
「そう思うと面白いね」
「何かとね」
「色々な創作にも出ているなんてね」
「オオサンショウウオも」
「昔から個体数は多くなかったけれど」
 それでもというのです。
「よく知られていた生きものなんだよ」
「成程ね」
「よくわかったよ」
「そうした生きものなんだね」
「先生がこれからお世話して論文を書く生きものは」
 動物の皆もそれはとなりました、そしてです。
 先生は論文を書きますがお昼には中断してトミーが作ってくれたお昼を召し上がります、そのお昼ご飯はといいますと。
 お好み焼き定食です、白いご飯にお味噌汁にです。
 丸く焼かれておソースやマヨネーズが上にたっぷりと塗られ鰹節や青海苔をふりかけたお好み焼きがあります、先生はそのお好み焼きを見て笑顔になりました。
「いいよね、お好み焼き」
「先生お好み焼きも好きだよね」
「それもかなりね」
 オシツオサレツが先生の笑顔を見て言います。 
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