| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十三部第三章 今だ目覚めずその六十六

「あった」
「零戦にしても」
「あの戦闘機は今も有名ですね」
「運動性能に航続距離」
「そういった性能で」
「ドイツの戦闘機の航続距離は短かった」 
 それこそ日本軍にしてみれば驚くまでだ、ドーバー海峡のフランス側からロンドンに行って戻る位が精々だったのだ。
 しかしだ、日本の戦闘機の航続距離はというと。
「蜻蛉の様だった、バッタではなかった」
「この場合ドイツ軍の戦闘機がバッタですね」
「メッサーシュミットもフォッケウルフも」
「ロンドンを空爆する爆撃機の護衛も出来ませんでした」
「海峡を挟んですぐにあったというのに」
「それでイギリスでは負けた」
 バトルオブブリテン、この航空戦でだ。
「ロンドン上空でまともに戦えずな」
「ドイツ軍の航空機は大砲の延長でした」
「そうした設計思想でした」
「陸地で遠距離を攻撃するもので」
「敵の遠くの陣地や基地を攻撃する感覚でした」
「海を渡っての攻撃は想定しておらず」
「国全土を飛ぶことも考えていなかった」
 タンホイザーはドイツ機のこのことも指摘した。
「日本軍機と違ってな」
「日本軍は島国、山の多いその日本全体の上を飛ぶ」
「そう考えていましたね」
「その為航続距離が長かったです」
「ドイツ軍のそれよりも遥かに」
「その設計思想から航続距離ではだ」
 第二次世界大戦、ヒトラーが日本はドイツに技術では絶対にそれこそ未来永劫追い付けないと思っていたその頃でもというのだ。
「ドイツは敗れていた、海軍の艦艇はさらにだ」
「お話になりませんでしたね」
「潜水艦以外は」
「日本軍は戦艦や空母も多く持っていました」
「それもドイツ軍のよりも遥かに」
「潜水艦も日本軍は艦隊決戦に用いる考えだった」
 通商破壊でなくだ、この辺り艦隊決戦を念頭に置いていた日本軍の特徴だった。
「だから性能自体はだ」
「優れていましたね」
「ドイツ軍のそれと比べても」
「負けていなかった」
「そうでしたね」
「そうだった、若しドイツ海軍が帝国海軍と戦えば」
 大日本帝国海軍、彼等とというのだ。
「ドイツ海軍は相手にならなかった」
「数もそうですが」
「兵器の質もですね」
「ドイツ海軍は帝国海軍の敵ではなかった」
「数でも」
「そうだった、そしてヒトラーも最後は考えを変えたのか」
 とかく人種的偏見の強かった彼がだ。
「日本人そして中国人が白人より劣っているか」
「そうではないとですね」
「そう言う様になったのですね」
「最後は」
「そうなった、死ぬ間際もな」
 自殺するその時もというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧