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神々の塔

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第九話 自然もありその十一

「その中でな」
「山あり谷ありやったわ」
 中里が笑って述べた。
「ほんまな」
「そやったね」
「それでな」
「豊かな国にしたわ」
「人口も四十億は増えて」
「民の生活は段違いに豊かになったわ」
「識字率も百にしてな」
「凄い国になったわ」
 まさにというのだ。
「枢軸や欧州と比べると」
「国力差が凄なったわ」
「枢軸と比べたら百倍はある」
「そうした国にしたさかいな」 
 だからだというのだ。
「経験積んできれ」
「試練もあったわ、まあぐうたらしてんと」
 さもないとだ、綾乃は話した。
「試練は絶対に来るってことやね」
「人にはな」
「そしてその試練を乗り越える」
「それが大事やね」
「成長する為にはな」
「ただ、あれやで」 
 シェリルはクールに述べた。
「試練と災厄はちゃうで」
「災害とか暴力とかやね」
「どっちも進んでいってもや」
「死ぬか痛い目に逢うだけやね」
「そやで」 
 こう綾乃に述べた。
「ほんまに」
「そうなるだけやね」
「ヤクザ屋さんの事務所に殴り込めとか」
「それは試練かっていうと」
「アホや、DV男と別れるな」
「一緒におるのが試練とか言うて」
「ほなあんたが行け」
 シェリルは言い捨てた。
「そうなるわ」
「そやね」
「そんなこと言う奴は自分も昔や」
「殴られたとか言うね」
「昔と今はちゃうしや」
「昔が間違ってることも多いし」
「どうあっても暴力はあかん」
 そもそもというのだ。
「大体な」
「昔その人を殴った人が問題やね」
「そや」
 シェリルは今度は言い切った。
「まさにな」
「そういうことやね」
「暴力自体があかん」
「その視点に立たんとね」
「まして生徒を虐待するとかや」
 そこまでの暴力を加えることはというのだ。
「床の上で背負い投げしたりな」
「それ死ぬからな」 
 芥川は真顔で述べた。
「後頭部とか打ったら」
「そうなるな」
「ほんま死ぬわ」
 そうなるというのだ。
「下手したら」
「そんな暴力振るう奴と一緒におれとかな」
「そんなん逃げな死ぬわ」 
 芥川は今度は強く荒い口調で言った。
「ほんまな」
「そうなるな」
「行けと言ってる奴は何を大事に思ってるか知らんが」
「暴力振るわれに行けとかな」
「その暴力で死んだら自分責任取れるか」
「そんなこと言う奴の絶対の鉄則があるわ」 
 羅は忌々し気に述べた。
「どの国でもな」
「こうなるとは思わんかった、やな」
「それか自分は知らん」
「暴力振るった奴が悪い、やな」
「そんなことする奴やとわかってたらな」 
 暴力を振るう様なだ。
「行かせるな」
「夫婦やと離婚やな」
「離婚せんと殺されても不思議やないわ」
 それこそというのだ。
「殴る蹴るの中でな」
「虐待死やな」
「奥さんとか子供とかな」
「それで死ぬな」
「そや、これは試練やない」
 間違ってもとだ、羅は言った。
「災厄や」
「災厄は避ける」
「それに尽きるわ」
「試練と災厄はちゃうな」
「それがわからんとな」
 さもないと、というのだ。
「アホや」
「そやな、それに尽きるな」
「ああ、試練は乗り越えてな」
「成長して」
「災厄は避けるんや」
 こうしたことを話しつつだ、十人はこの階も進んでいった。そうしてそのうえで先に進んでいくのであった。


第九話   完


                  2023・1・8 
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