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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその五十七

「一歩間違えれば特攻です」
「発見されれば終わりなのですから」
「特攻の兵器なぞ問題外です」
「そうした兵器を実戦に投入するなぞ」
「軍事の外にあります」
「テロリストの自爆ではないですから」
 それでというのだ。
「誰が考えるのか」
「ですがオムダーマン軍はですね」
「アッディーン大統領は」
「そうした兵器を考えつき」
「そして、ですね」
「戦場に投入しましたね」
「特攻隊は恐ろしい戦術だ」
 タンホイザーは二次大戦末期に日本軍が実行したこの戦術については戦慄を感じつつ周りに述べた。
「人間が言うならミサイルとなるのだ」
「爆弾を搭載するかそうした兵器に乗り込み敵に突っ込む」
「自らの命と共に敵を仕留める」
「そうした戦術を行うなぞ」
「恐ろしいですね」
「今は必要がない」
 誘導、兵器をそうする技術が出来てからだ、特攻なぞする必要がなくなった。特攻隊はそれまでの戦術であったのも事実だ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「あの必殺戦術は恐ろしいですね」
「鬼の形相で敵が自爆を仕掛けてくる」
「それも次から次に」
「テロリストの自爆テロとは違い」
「あれはさらに恐ろしいですね」
 周りも特攻隊について口々に述べた。
「しかもテロリストは狂気の塊です」
「それにより行います」
「それもテロはテロです」
「実に薄汚いものでしかありません」
「ですが特攻隊は」
 その彼等はというのだ。
「戦争で行いました」
「死んで国を守る存在になるとまで言ったうえで」
 護国の鬼即ち日本を護る英霊となるとまで言って特攻隊員達は向かったのだ。このことは歴史にある通りだ。
「その資料も残っていますが」
「何処までも美しいものさえあります」
「そしてそれと同じだけ恐ろしい」
「そうしたものがありますね」
「彼等には」
「そうだ、当時の日本と今の日本は違うが」
 軍隊でもだ、それでもというのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「あの特攻隊を行ったことは」
「それはですね」
「想像を絶しますね」
「確かに」
「全くだ、あの様な戦術は今は無駄でも行われるとな」
 それならというのだ。
「私はその国の軍隊とは戦いたくない」
「全くです」
「しかもそこにあるのは狂気ではないです」
「冷静な国への想いです」
「それによっての行為ですから」
「その様な軍隊と戦うと」
「どれだけ恐ろしいか」
 まさにとだ、タンホイザーはまた言った。
「わかったものではないな」
「勝ててもです」
「恐ろしいまでの損害を出すことは事実です」
「実際に日本軍の健闘は素晴らしかったです」
「敗れはしましたが」
「恐ろしいものを見せたうえで、でした」
「その様な軍隊と戦いたくはない」
 タンホイザーははっきりと言った。 
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