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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその五十四

「機動力、速度や運動性能を犠牲にしているな」
「ステルス性能も高いですが」
「それ以上に攻撃力、防御力が高いです」
「攻撃射程、レーダー、生存性等も」
「極めて高いです」
「あの国の設計思想は重装備だ」
 それが念頭にあるというのだ。
「強い武器に堅固な鎧で全身を包んだな」
「それが連合軍ですね」
「あの国の兵器は憎いまでに強かったです」
「とかくしぶとく」
「忌々しいものでした」
「そうだったな、私もあの国の兵器は忌まわしく思っていた」
 タンホイザーは自ら陣頭に立って常に戦っていた、それが為に連合軍の兵器について確かな声で語るのだ。
「実にな」
「左様ですね」
「あの国の兵器は強かったです」
「武装もバリアも装甲も」
「何もかもが強かったです」
「足は遅かったがな」
 それでもというのだ。
「あれはいい設計思想だ」
「忌まわしいことであっても」
「そのことは事実ですね」
「兵器で重要な機動力はあえて捨てて」 
 それを二の次もっと言えば三の次にしてだ。
「そうしてでしたね」
「他の能力を高めました」
「とにかく沈みにくく」
「乗員が生きる様にしていましたね」
「乗員即ち将兵は死なせてはいけない」
 タンホイザーは強い声で述べた。
「彼等は連合市民だからな」
「左様ですね」
「あの国はそうした考えでしたね」
「市民は死なせてはいけない」
「そうした思想ですね」
「あの国の主権者は市民だ」
 このことはエウロパも同じだが連合と違い階級が存在している、その階級から貴族が平民を主導するものと考えている者が多いのだ。
 それでだ、タンホイザーも言うのだ。
「その市民が死ぬことはな」
「あってはならないことですね」
「戦争で人が死ぬことは絶対でも」
「それでもですね」
「それが出来るだけ少ないに限りますね」
「そうだ、その考えからだ」
 まさにというのだ。
「連合軍は生存能力を重視してだ」
「兵器を開発していますね」
「あの国は」
「そしてああした兵器を開発しましたね」
「頑丈な兵器を」
「艦艇や艦載機を」
 尚艦載機の速度や運動性能はどの機種もエウロパ軍の艦載機であるエインヘリャルを圧倒していた、特に攻撃力ではそうだった。
「とかくしぶとく」
「それで、でしたね」
「我々は苦戦しました」
「あの攻撃射程の長さに攻撃力にも苦戦しました」
「しかも弾薬の数は多く狙いは正確でした」
 このことも連合軍の武器だったのだ。 
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