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その小さな女の子のことが気になってしまったんだが、どう接していけばいいんだろう

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4-9 中学入学式

 僕が事務所に居るとななのちゃんが訪ねてきて、玄関ホールから手を振ってきた。

「学校 終わったの?」グレーのブレザーに襟元は赤の細いリボンにスカート姿だった

「うん シュウに見て欲しかってん 似合う?」と、僕の眼の前でくるりと回って見せてきた。僕は、事務所の女の人もこっちを見ていて、視線を感じていたのだが

「あぁ 立派な中学生だよ」と、言ったものの今までと違って、スカートもまだ大きめなのか、ずいぶんと長いもんだなと思っていた。

「あっ やっぱりかー」と、ななのちゃんは急に言い出して、しばらく下を向いて、じぃーっとしていたが

「ねぇ シュウ あんなー あそこの女の人に話していい?」

「あぁー べつにいいけどー 何?」

「うん」と、言いながら事務所の中に入って行って、30代後半の事務員の高沢さんの横に行って、小さい声で何かを話している様子だった。そして、奥のロッカーから小さなものを受け取って、ななのちゃんは高沢さんに頭を下げていた。

「一緒に行かなくて大丈夫?」と、高沢さんは声を掛けていたけど

「大丈夫だと思います」と、ななのちゃんは急いでトイレのほうに走っていた。

 僕が高沢さんの顔を見て、何か聞きたそうにしているから、高沢さんは

「急に来ちゃったみたいなのよ! 北番君には関係ないから・・ あんまり、聞かないでやってネ あの子 知り合いなんでしょ よく、一緒に居るよねー」

「えっ えぇー 親戚の子」

「ふーん 可愛いわね」と、ふふふっと言いながら、席に戻って行った。

 ななのちゃんが出てきて、高沢さんに頭を下げて、僕を外に引っ張るようにして

「あのね アレ 急に来ちゃったの 油断してたの 私 持ってなかったから あの人にお願いしちゃった」

「ふぅーん アレ?」

「うん もういいの! あのね 今日は帰るね あした シュウのとこに行ってるから」と、新しい通学用のリュック背負ったかと思うと、手を振りながら長いスカートを翻して帰って行った。 
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