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異世界ほのぼの日記~日本に似て便利な世界でぷらぷら生活~

作者:佐行 院
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97

 
前書き
 興奮しながら発泡スチロールの中身を出す光明。 

 

-97 ご飯のお供③-

 光明は抱えていた小さな発泡スチロールを降ろし、ゆっくりとビニールテープを剝がしていった、宅急便の届け票がまだ付いていたままだったので届いたばかりと言うのは嘘ではないのだろう。

光明「むふふ・・・、これこれ。」

 にやけながら発泡スチロールから小さな箱を取り出す光明、嬉しさは満更ではなさそうだ。

光明「今回は誠に勝手ながら2種類ご用意致しました、まずは福岡県博多の辛子明太子です。」

 炊き立て熱々の白飯に真っ赤な辛子明太子を乗せ、皆が1口齧る。プチプチとした卵の食感や舌ざわりと赤い唐辛子の辛味がご飯を誘う。光明が持参したもう1種類を知る前にかなりの量の白飯を堪能してしまっているが光の魔力のお陰でまだまだお腹は余裕だ。林田に至っては1腹だけで白飯を2杯食べてしまった。

林田「光明さん、早く次の物を出してください。私のお茶碗の中の白米が今か今かと待ち構えています!!」
結愛「いや、待ち構えているのは警部さんでは?」
光「そんなこと言ってる結愛さんだってそうでしょ?」
結愛「あ、バレました?あなた、早く出して!!」

 結愛に急かされた光明は発泡スチロールの中から小瓶を2本取り出した。

光明「焦らない焦らない、すぐ出すから待ってな。では皆様お待たせしました、こちらは粒雲丹です。今回は北海道利尻島産の物と山口県下関産の物を用意しました。小皿に移してお出ししますので宜しければどちらが利尻か、もしくは下関かを当てて見て下さい。」
光「何処か今日の趣旨と違っている様な気がしますがやってみましょうか。」

 白と黒の小皿に少しずつ粒雲丹が盛られており、全員最初は白の皿の物から食べていった。少量だが濃厚な粒雲丹だ。
 とろりと口の中で溶け雲丹の風味が広がる、それを白飯で追いかけるというこの上ない贅沢。全員が少量の粒雲丹でお茶碗2杯分のご飯を食べると、水を飲んで口の中をリセットした。
 全員が黒の皿の粒雲丹に移る、口の中で溶かすと白の皿の物と同様に優しい雲丹の風味が広がるが・・・。

光「(こっち)が利尻ですね。」
光明「もう分かっちゃったんですか?」

 味には明らかに大きな違いがあったのだが他のメンバーが正直チンプンカンプンな様子だったので、某有名グルメ漫画の主人公のであり、厳格な美食家を父に持つ新聞社のぐうたらサラリーマンの様な口調で説明した。

光「白の皿も黒の皿も両方ともトロリとした雲丹の食感と一緒に海を想像させる塩味が広がりご飯を誘いますが、(こちら)は利尻が故の明らかな特徴が出ています。利尻は雲丹もそうですが昆布の産地でも有名ですね、その現地では海の底で雲丹が昆布を齧っている事が多く現地で採れた昆布には穴が開いているんです。どうしてかと言いますと、雲丹の口は下部分にあるからで、雲丹が齧った場所にそのまま穴が残っているんですね。その利尻の昆布を齧った雲丹からは昆布の風味も感じる事が出来るのです。」

 光の説明した事を踏まえ、林田と珠洲田は改めて食べ比べをしてみた。

林田「むぐむぐ・・・、言われてみれば本当ですね。白の物には微かに昆布出汁の風味を感じます。」
珠洲田「でもどちらもご飯にぴったりで美味しいですね。」
光明「それにしてもこんなに早く当てられるとは・・・。」

 落胆している光明の隣で、結愛がプルプルと震えている。

結愛「あなた・・・、いつも1人でこんなに美味しい物をこそこそと食べているの・・・?私が自分で漬けた糠漬けを持って来たのに高級品を・・・。」
光明「お取り寄せは数少ない趣味の1つなんだ、許してくれよ。」

 海から届いた豊かな塩味の粒雲丹で白飯を堪能していると、男性の声が玄関の方向から聞こえて来た。

男性「こんにちは、林田警部に呼ばれて来たのですが。」
 
 

 
後書き
 声の正体とは。 
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