異世界ほのぼの日記~日本に似て便利な世界でぷらぷら生活~
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93
前書き
デカルトの涙の訳は?
-93 巨獣人族達の未来-
刺身をたった1口食べただけで号泣するデカルトを見てガヒューはもらい泣きをしてしまいそうになっていた。目の前で1国の王が自分の料理で涙しているのだ、これほど嬉しい事は無い・・・、はずだった。
マック「叔父さんは相変わらずだな、何でも美味い美味いと言ってすぐ泣くんだから。」
ウェイン「特に日本酒を呑んでる時とかな。」
ガヒューの涙は一気に引いてしまった、目の前にいる人化した上級鳥魔獣は酒を呑むと涙もろくなり、味音痴になるのだろうか。
キェルダ「ガヒューさん、ごめんなさいね。古来からなのですがコッカトリスは情に厚い者が多いんですよ、叔父さんはその代表格でして。」
それを聞いたデカルトが重めの口調で反論した。よっぽど刺身が気に入ったのだろうか。
デカルト「愚か者たちよ・・・、何を言っているのだ。そういう事は1口食ってから言わんかい。」
たかが刺身だろうと言わんばかりの様子で各々が刺身を1切れ掴み、口へと運ぶ。豊かな甘みを含んだ脂が口いっぱいに広がりゆっくりと消えて行く。醤油に混ぜたおろしたての山葵の辛さの中にある穂のかで優しい甘みと、皮の香りをつけながら絞った酢橘の酸味が手伝い日本酒を誘った。3人が揃って日本酒を呑む。
キェルダ「前言・・・、撤回・・・。」
ウェイン「美味・・・。」
マック「過ぎる・・・。」
自分達の発言を反省する兄妹、デカルトと同様に涙を流していた。
キェルダ「実は私、あまり刺身は好きでは無かったのですがこんなに美味しい刺身は初めてです。本当にごめんなさい。」
マック「ガヒューさん、あんた天才だよ。料理人になったらどうだい、なぁ、叔父さん。」
ウェイン「これお店出したらお客さん凄くなるんじゃないか?」
マック「叔父さん、どうだろう?」
デカルトはマックの言葉を受けて深く考え込み、ガヒューに質問した。
デカルト「ガヒューさん、貴方や今回我々が救出した方々を含むジャイアントの皆さんは料理人の方々ばかりなのですか?」
ガヒュー「私みたいに調理師免許を取って料理する者もいますし、魚介類を養殖する漁師もいれば無農薬の農産物を専門で作る農家もいます。勿論、牧場や養鶏所を経営する者もいたりして食料自給率はほぼほぼ100%と言っても過言ではありません。」
デカルト「そうですか・・・、何か勿体ないな・・・。」
デカルトは腕を組んでまた深く考え込んだ後、一人頷き相談を持ち掛けた
デカルト「ガヒューさん、実は折り入ってご相談があります。まだ計画中の段階なのですが今度王宮の食堂を一般市民向けに解放しようと考えてまして、ただ食材の流通ルートや料理人が確保出来ません。宜しければ皆さんにご協力をお願いできませんでしょうか。」
3兄妹は何が何だか分からず仕方なかった、何故ならそんな計画など全く聞いたことがなかったからだ。念の為、ウェインは軍隊長のムカリトに連絡を取り確認した。
ムカリト(電話)「いや、私共は全く存じてはおりません。」
ウェイン「そうですか・・・、分かりました。」
ムカリト以外の者にも何人かに聞いてみたが、答えは同じでウェインとマックはため息をついた。電話の向こうでもう1人の軍隊長・ウィダンもため息をついている。
マック「という事は・・・。」
ウェイン「叔父さんのいつもの思い付きだな。」
ウィダン(電話)「ああ・・・、相変わらずのあれですか。王宮の食堂やその厨房と言っても場所的にはキャパオーバーですし工事をするって話も全くないですよ。」
きっとさっきこの大きな計画を考え込んでいたのだろう、これによって自らの手で囚われていたジャイアント達の雇口を作ろうという事だ。
デカルト「皆さんの美味しい料理を国民の方々にお召し上がりいただき、その素晴らしさを伝えるいい機会にしてみませんか?」
後書き
デカルトの計画の行方は?
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