テレモンピュール探偵事務所
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「さて、それでは始めましょうか」彼女はそう呟くように言うと手に持っていた鞄を開けた。
前書き
「さて、それでは始めましょうか」彼女はそう呟くように言うと手に持っていた鞄を開けた。
中に入っていたのは注射器のようなものや医療器具のような物がいくつか入っていた。
「何なんだ。君は」と詰め寄ると、あっさり「私はあなたの妻よ」と答えた。
「さて、それでは始めましょうか」彼女はそう呟くように言うと手に持っていた鞄を開けた。中に入っていたのは注射器のようなものや医療器具のような物がいくつか入っていた。それを見て血の気が引いていくのがわかった。何をする気だ!?そう思った瞬間、腕を掴まれると袖を捲り上げられた。そして注射針のようなものが腕に刺さったのだ。チクッとした痛みが走った後、何かが注入されていくのを感じることができた。これは一体何なのだ!?いったい何をするつもりなんだ!?不安に思っていると今度は別のものを差し出された。それは大きめの絆創膏のようなものだった。これを貼れということなのだろうか?とりあえず言われた通りにすることにした。貼り終えると再びベッドに寝かせられた。手足は相変わらず拘束されたままだ。
「しばらくすれば効果が出ますから大人しくしていてくださいね」そう言って部屋を出て行った。しばらくして眠気に襲われ始めた。抗うことができずそのまま眠りに落ちてしまった。
どれくらい時間が経ったのだろうか?目を覚ますと部屋の中は薄暗くなっていた。雨宮美沙子が戻ってきたようだった。彼女は私の顔を見るなり笑顔を浮かべて近づいてきた。そして私の顔に触れながら話しかけてきた。「気分はどうかしら?」その声は今まで聞いたことのないくらい優しい声音だった。その声を聞いているうちに安心感を覚えたような気がした。
「悪くないですよ」と答えると、
「良かったわ」と言って微笑んだ。
それからしばらくの間、彼女と話をした。主に大学のことが中心だったが話題は尽きなかった。私が通っていた大学の卒業生だったらしい。しかも学部も同じだということが分かった時には驚いたものだ。もっとも当時はそれほど親しい関係ではなかったため気付かなかったのかもしれない。もしかしたら何度かすれ違ったことくらいはあったかもしれないがそれだけだ。だから彼女が私のことを覚えていたというのは意外だった。もちろん悪い意味でだが……。
その後、彼女は私に質問してきた。家族構成や交友関係についてなど様々だ。なぜそんなことを聞くのかわからなかったが素直に答えた。特に隠すようなことでもないと思ったからだ。だが、一つだけわからないことがあった。私の名前のことだ。どうして知っているのかと尋ねると、
「調べたのよ」と言っただけだった。それ以上は何も教えてくれなかったが何か嫌な感じがしたので聞かないことにした。
しばらくすると眠くなってきたのでまた眠ることにした。次に目を覚ました時はもう朝になっていた。「おはようございます」と言うと彼女は優しく髪を撫でてくれた。
その後、朝食を食べさせてもらってからは彼女の仕事を手伝うことになった。何でも家事全般は彼女の担当らしく一人では大変らしい。そのため手伝ってほしいとのことだった。料理や洗濯などできることは何でも手伝った。だが、こんなことをしている場合ではないと気づいた。「何なんだ。君は」と詰め寄ると、あっさり「私はあなたの妻よ」と答えた。そしてこうなった経緯を話してくれた。どうやら私はあの時、薬を打たれた後に再び気を失ってしまったらしい。そして気が付いた時にはすでに彼女の家で寝ていたというわけだ。さらに恐ろしいことに私の身体には彼女の子供ができており、彼女は私と結婚する意思があることを親に伝えたそうだ。
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