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テレモンピュール探偵事務所

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瑠璃が自殺した日の朝、探偵の元に一通の手紙が届いた。

 
前書き
瑠璃が自殺した日の朝、探偵の元に一通の手紙が届いた。
探偵は小さく鼻を鳴らすと、ゆっくりと立ち上がった。
探偵はコートを手に取ると、事務所のドアノブに手をかけた。 

 
だが、その思いはいつしか憎しみへと変わっていった。ある日、女は考えた。何故、これほどまでに苦しい思いをしなければならないのか、と。そして、その原因を作ったのは誰であるかを思い出した。
女は思った。──憎い。
──あいつさえいなければ……! そう思うと、居ても立ってもいられなくなった。そして、ついに決意したのである。
私はもう一度、写真を見た。
そこには、幸せそうな笑みを浮かべる二人の姿が映っている。
探偵は今頃何をしているのだろう。
自宅のベッドの上で横になりながら、ぼんやりと考えていた。
今日一日の出来事を振り返ってみる。朝からずっと書類作成に追われていた。昼休みに昼食を食べてから再び仕事に戻った。そして夕方になって退社した。そのまま真っ直ぐ帰宅したのだが、特にこれといった出来事はなかった。
いつもと同じ毎日だ。
私は目を閉じた。瞼の裏に浮かぶのは妻の笑顔だ。
瑠璃は死んだ。自殺だった。
私は何度も同じことを考えた。
どうして瑠璃は死を選んだのだろう? 私が殺したわけではない。
もちろん、探偵に依頼したわけでもない。
では、誰が瑠璃を殺したのだろうか? 瑠璃が死ぬ直前に会っていた人物と言えば、一人しか思い当たらない。そう、妻の友人を名乗るあの女性だ。
彼女は瑠璃の夫を恨んでいた。
だから瑠璃は殺されたのだ。
しかし、本当にそれだけだろうか? 私には他にも動機があるように思えてならなかった。
では、そのもう一つの動機とは何か? 私は答えを探すべく、記憶を掘り起こしてみた。
瑠璃が自殺した日の朝、探偵の元に一通の手紙が届いた。
探偵はそれを読み終えると、深い溜め息を吐いた。
「何だ、君か」
手紙の差出人には『雨宮美紗子』という名前が書かれている。探偵はしばらくの間、無言のまま天井を見上げていた。
「全く、面倒なことを起こしてくれたものだ」
やがて探偵は立ち上がり、部屋の奥へと向かった。
「君はどうするんだ?」
探偵はソファに座っている私に向かって話しかけた。
「さあ、どうしましょうか」
「さあって、そんな暢気な話じゃないぞ」
「わかっていますよ」
「君はどうするつもりなんだ?」
「とりあえず様子を見ようと思います」
「ふん、なるほどな」
探偵は小さく鼻を鳴らすと、ゆっくりと立ち上がった。「行くんですか?」
「ああ、そうだ」
「気をつけてくださいね」
「馬鹿を言うな」
探偵は苦笑いしながら言った。
「大丈夫ですか?」
「心配するな」
「そうは言っても……」
「私はプロだ」
「……」
「まあいい。とにかく何かわかったら連絡してくれ」
「わかりました」
探偵はコートを手に取ると、事務所のドアノブに手をかけた。
「一つだけ聞きたいことがある」探偵は振り返ると、真剣な眼差しで言った。
「何でしょうか?」
「君は瑠璃さんの事件とは関係なさそうだな」
探偵の言葉に私は戸惑った。しかし、すぐに返答した。
「違いますよ。僕はただの一般人ですから」
探偵は納得していない様子だったが、それ以上は何も言わずに部屋を出て行った。私は探偵がいなくなった後も、しばらく一人で部屋に残っていた。それからしばらくして仕事を終えた私は、電車に乗って家に帰った。家に着いてからも、ずっと探偵のことが気になっていた。探偵の身に危険が及ぶのではないかと不安で仕方がなかった。
翌日、私はいつものように出勤した。オフィスには社員の姿が数人ほどあった。
今日も残業をしなくてはならないだろう。 
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