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ドリトル先生と山椒魚

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第一幕その三

「誰かが食べにくいとか言ったら」
「小さくなるよね」
「一人が言ったら」
「他の人の意見が無視されて」
「そうなるね」
「大抵の人は満足していたら言わないよ」
 特にというのです。
「けれどだよ」
「そうしたこと言う人ってね」
「もう言うことが目的で」
「何でもかんでも言うね」
「それで自分の意見を通そうとする」
「そうだね」
「そうだよ、もう何でも言う人はね」 
 実際にというのです。
「世の中にいるよ」
「そうそう」
「所謂クレーマー」
「そんな人っているから」
「そんな人の意見がまかり通るとね」
「何でもおかしくなるわ」
「だから動物園や植物園廃止なんて意見もね」
 こうしたものもというのです。
「通ったら」
「学問と種の保存にとんでもない影響を与えるね」
「それも悪影響を」
「だから駄目だね」
「そんな意見を無批判に通してはいけないね」
「どんな意見も尊重すべきでも」 
 このことは事実でもというのです。
「けれど検証しないでね」
「こんな意見が出たから通す」
「クレームは面倒だから素直に聞く」
「そんな風だとね」
「絶対に駄目ね」
「そうだよ、どんな意見も検証して」
 そうしてというのです。
「そのうえでね」
「採用すべきだね」
「それが例え抗議だとしても」
「その内容を検証する」
「そしておかしいと思ったら採用しない」
「そうだよ、考えてみたらいいよ」 
 先生は論文を書きながらこうも言いました。
「動物園がなかったら」
「もうね」
「その時はね」
「本当に学問や種の保存にとんでもない悪影響が出るわ」
「水族館も植物園も」
「とんでもないことになるよ」
「少数の暴論が何の検証もなく採用され続けたら」
 そうなると、というのです。
「それもまた民主主義じゃないよ」
「全くだね」
「多くの正論が無視されて」
「少数の暴論がまかり通るなら」
「もう民主主義じゃないわ」
「民主主義ってのは結局多数決で」 
 それで決まるものでというのです。
「少数の意見も検証されるべきでも」
「少数が正しいかというと」
「常にそうとは限らないね」
「逆に多数も常に正しいとは限らないけれど」
「少しの暴論を採用したらいけないね」
「僕は動物園廃止論が多数派になっても違うと言うよ」
 先生はそうだというのです。
「さっき言った通りにね」
「それが正しいと思うから」
「学問や種の保存にとって」
「それでそう主張するのね」
「動物園はあるべきと」
「水族館や植物園もでね」
 こうした施設もというのです。 
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