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ダッチェスのお話Ⅲ

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第一章

              ダッチェスのお話Ⅲ 
 ダッチェスはこの時自分のお家にいました、それで人間のご主人からこんなことを言われていました。
「今日のお散歩は少し遅れるぞ」
「そうなんだ、けれど入れるのならいいや」
 ダッチェスはご主人に言われてこう思っただけでした。
「ご主人にも都合があるだろうしね」
「それまで待っていてくれよ」
「うん、いいよ」
 ダッチェスは自分の言葉で頷きました、そうしてです。
 お散歩の時までお庭に出てそこで丸くなってぐっすりと寝ることにしました、ですがそこにです。
 子猫のトムがとことことやって来てです、寝ているダッチェスさんに声をかけてきました。
「ダッチェスさん寝てるのかな」
「これまで寝てたけれど君の声で起きたよ」
 ダッチェスはトムにお顔を上げて応えました。
「まさか君が来るとは思わなかったよ」
「今日はこの辺りをお散歩しているんだ」
 トムはダッチェスにこう答えました。
「それで通りがかったらね」
「僕がここで寝ていたんだね」
「そうなんだ、お元気そうだね」
「この通りね、僕のお散歩の時まで寝ているつもりだったんだけれど」
「起こしたの?悪いことしたかな」
「別に。大したことじゃないからね」
 ダッチェスの返事は何でもないものでした。
「気にしなくていいよ」
「そうなんだ」
「寝るつもりだったのは他に何をするか思いつかなかったからだし」
「それでなんだ、僕はもう暇さえあったら寝るけれどね」
「それは君が猫だからだよ、猫はよく寝る生きものだからね」 
 それでというのです。
「君もだよ」
「よく寝るんだ」
「そうだよ、それで君もお散歩の後寝るね」
「絶対にそうするよ」
 トムはダッチェスに右の前足を挙げて笑顔で答えました。
「そうじゃないとね」
「君達はいてもたってもいられないね」
「寝る時間が最高だし寝ることが大好きだからね」
 それでというのです。 
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