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異世界ほのぼの日記~日本に似て便利な世界でぷらぷら生活~

作者:佐行 院
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88

 
前書き
 利通は人生の大きな節目を迎えようとしていた。 

 

-88 宴の中で-

 顔を少し赤らめ酒の力を借り深呼吸した利通は父親である林田警部にも見せた事の無い程の真剣な表情をしていた。
 全員察したのか歓談をやめ利通の行動に注目し、温かな表情で見守る。利通が進む先に佇むドーラが微笑んでその時を待っていた。
 ドーラの前にしゃがみ込み、いつの間にか用意していた指輪を懐から出すともう一度深呼吸をしてキリっとした表情で切り出した。

利通「ドーラ・・・、いや、ノーム・クランデルさん。ご存知の通り自分は普段からとても不器用なので非常に短いですが率直に言わせて下さい。貴女が部下として私の下に来て下さった時から決心していました、一生懸けて幸せにします。貴女の隣で朝を迎えたい、僕と結婚して下さい。」

 全員の視線がドーラに集中する。

ドーラ「一緒に働いたり遊んだりしている内に自分の人生で堂々と「一番楽しい」と思えるのが貴方といる時でした。貴方が思うような女になれるかどうかは分かりません、でも2人で幸せな時間や瞬間を増やしていきたいです。私みたいなエルフで宜しければ、喜んで御受け致します。」

 利通がドーラの左手の薬指に指輪をはめると、そこら中から拍手喝采が起こり皆が涙を流しながら歓喜の声を上げた。
 すると、赤ワインでほろ酔いになっているメイスが観衆の中から出てきた。

メイス「林田利通さん、貴方はこちらの女性を妻として迎え、病める時も健やかなる時も愛し続ける事を誓いますか?」

 皆がまさかと思っていたのだが、結婚の儀を始めたのだ。

利通「誓います。」
メイス「ノーム・マーガレット・クランデルさん、貴女はこちらの男性を夫として迎え、病める時も健やかなる時も愛し続ける事を誓いますか?」
ドーラ「誓います。」
メイス「Then, you kiss to the bride.」

 2人は静かに近づきお互いへの優しさと愛情あふれる表情と共に口づけをした。

メイス「アーク・ビショップの名の下に宣言します。今よりこの2人を夫婦とします!」

 全員が魔力で紙吹雪やライスシャワーを行い、拍手で新たな夫婦の誕生を喜んだ。
そんな中で新郎本人は一人裏庭の出入口へと走り、出た途端に叫んだ。

利通「よっしゃー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 林田は人生の大きな節目を迎えた息子の片腕を掴み高らかに上げさせた。堂々とした表情の利通の目には歓喜の涙が浮かんでいる。

光「喜ばしい瞬間を迎えたお2人に私からのプレゼントです、結愛さんお願いします。」
結愛「最高の瞬間にピッタリな大きいサーロインがお出まししましたよ、美味しいステーキにして皆で食べましょう。ただ利通さん、アーク・ビショップの前で結婚したんですからね、ドーラさんを泣かせたら今度は貴方を解体しますよ?」
利通「は、はい!!絶対幸せにします!!」

 血の付いたナイフ片手にかなりキツめのジョークを言った結愛からサーロインを丸々1本受け取ったヤンチが少し震えつつも美味そうなステーキにしていく。

御厨「何でお前が震えているんだよ。」
ヤンチ「ただでさえサーロインって高級品なのに、結愛さんが何となく怖いから緊張するの!!」

 それを聞いた結愛は少しふざけてみる事にした。

結愛「ヤンチさん・・・、失敗したらどうなるか分かってますよね・・・?」
ヤンチ「ちゃんとします、ちゃんとしますから許して下さい!!」

 ウェアタイガーは「伝説の獣人」と巷では言われているはずなのに、目の前にいるヤンチはまるで鞭で脅されている奴隷の様に震えていた。
 結愛の「脅し」が利いたのか、ヤンチが鮮やかな手付きでステーキにカットしていくと、御厨が網の上で焼いていく。
 ただ改めて言う事でもないが、全員呑みながらだ。
 
 

 
後書き
 酔った勢いで色々してしまう世界。 
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