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たどん王国の激ひみつ【完結】

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沙世子の部屋で起きた出来事について、女性セブンが報じている。

 
前書き
沙世子の部屋で起きた出来事について、女性セブンが報じている。ベッドから出て着替え、いつも通り朝ごはんを食べて家を出る。いつも通りに電車に乗り込んで、いつも通りのことが起こると明かした。 

 
そして、さらに力を強めようとしたその時だった 沙世子は首を絞められるのを予測してあらかじめ覚悟を決めていたので意識を失うことはなかったが、それでも窒息しそうになるほど強い力だったのだけれど何とか耐え続けることができている状態が続いていたのだけれども、ついに力尽きそうになってしまう その時である 誰かの叫び声のようなものを聞き取ったのか、それとも何か別の気配を感じ取ってしまったのかは分からないけれど急に玲の手から力が抜けたかと思うとそれとほぼ同時に今度はまるで魂が抜け出たように脱力したように沙世子の肩に倒れ込んだ 沙世子はすぐに首に回されていた手を解こうとする だがその時に玲は突然、声にならない叫び声を上げるのだった そして次の瞬間沙世子の耳には聞こえてきたのは玲の言葉だった のである 玲は必死に謝っているような素振りを見せるが、それが謝罪の意を伝えているわけではないということをすぐに察することができたのだけれどその理由を知る前に沙世子は意識を失ったのだ 次に目が覚めるとそこは保健室だった そこで紗英から沙世子が何をしたのかという説明を受けた
「実はあなた達が抱き合っているところを見た後しばらくしてからなんだけど、急に玲が倒れたと思ったらその時にはもうあんな状態でいたみたいなのよ」
「私がもっと早く気づいていればこんなことにはなってないのに、ごめんなさい。
玲を助けられなくて本当にごめんなさい」と沙世子は泣き出してしまったのだが、その姿を見て玲も自分のしたことを知ったようだ。
そして自分が沙世子にしたことも理解しているように思えた。
「沙世子のせいじゃないってば。
そんな風に思い詰めないで。
それに玲は私を恨んだりなんてしていないはずだから。
むしろ感謝してくれてるはず」と、そう慰めることに努めた
「うん、そうだよね、きっと玲ならそう言ってくれるよね。
沙世子が私を信じてくれているみたいに」と言いながらも未だに完全に立ち直れてはいないように見えたがそれでも少しずつ落ち着いてきたような気がしたので、そろそろこの場を去るべきかと考えていると、玲はおもむろにポケットの中からスマホを取り出して操作し始めたのを見て思わず、あっ!!っと叫んだ。
それは、玲が初めて自らの意志を持って行動しようとしたからであり、そして同時に沙世子との繋がりを自ら断とうとしたように見えたからだ。
「待って、玲。
お願い!それだけは止めて!」と言ったものの玲が聞き入れてくれるようなことはなくそのまま連絡先を削除してしまったようである。
それから間もなく玲が再び沙世子の方を見ると何かを話しかけ始めた。
何を話しているのか分からなかったのだが少なくとも沙世子の表情を見ている限り、あまり愉快な内容ではないことは間違いなかったようだ がそれでも懸命に説得しようと試みていてくれたようである
「ねぇ、玲、これからも私と一緒に居てくれない?私にできることなら何でもするから」と言うと玲は嬉しそうな反応を見せたのである。
どうやら、沙世子の提案を受け入れてもらえたらしい ということだけは分かった そしてしばらくの間、沙世子に対して玲は微笑みかけながら頭を撫でていた その後でようやく満足したのか沙世子に寄り掛かるようにしてまた眠りに落ちたのだったが、その顔は幸せそのものと言ってもいいような笑顔だったのだった。
(あれ?)玲は自分の部屋の中で目を覚ましたのだった。
いつ眠ってしまったのかは全く記憶がなかったのだがとにかく起き上がって鏡で自分の姿を確認したのだが特に異変が起きているようには感じられなかった
「夢?」だったのだろうか?いやでもそんなはずはない 昨夜の出来事は夢だったなどと到底考えられるようなものではなかったからだ
「とりあえず支度しなくちゃ」と言ってベッドから出て着替えを始める いつも通り朝ごはんを食べて家を出る いつも通りに電車に乗り込んでいつもと同じように座席に座っていると、やはりいつも通りのことが起こる そういえば昨日のことはまだみんなには話してないことを思い出す。
何があったかちゃんと説明しないといけないだろう。
だがそんな時であるふとある違和感を覚えたのだった。
(なんだっけこれ?確か今日が七十五回目の誕生日だからかなぁ)と思うもそれはおかしいことに気づいたのである 。
なぜなら今日の自分は確かに十六歳になっているのだが今までの記憶が全くないというわけではなかったのだ しかもなぜか今の自分にはこの状況を全く不思議だとは思えていないどころかむしろ懐かしく感じているのだった そしてそんな気持ちを抱きつつもとりあえず何かを考える前にまずはこの現状を確認しようと、手を動かしてみることにしたのだが、すると、右手も左手と同じで、同じくらいの感覚があり動かせそうであることを認識するのだった それで、試すことにしたのだ そうすることによってこの両手に付いている物がいったい何なのかが分かると思ったからである だが、それは無駄なことに終わった 。
いくら指先に力を込めるつもりでもその動きに応じて動くだけで何もつかむことができないからだった ただそれだけのことであるのだがそれなのに何故だかすこぶる安心感を覚えることができたのである そして今度は、足を使ってみようと試みたのだ だがそれも上手くいかない。
というかそもそも体全体が思うように動かない それでも何度も試みているうちにだんだん体が覚えてきたような気になってきてついにその感覚が確信に変わるのだった そう思った次の瞬間だった 突然頭の中に映像が流れ込みそれがどういうものかが理解できるようになっていたのだ。
そして、それと同時にこれまで疑問だった様々なことを理解するのだった そうだったのだ、これはあの時の出来事だったのだ、いや正確にはあの頃の思い出の一部なのだったと そしてこの時すでに死んだ人間になっていたのだなと思い出すのだった。
(そうだ、私はもう死んでいたんだった、それにしてもまさかまたこの場所に来るなんて思ってもなかったなぁ。
まぁそう思うのは当然だよねぇ)と沙世子は独り言のように呟いたのだった。
そうなのだ 実は彼女が死んだのは既に十七年前のことであるのだ。
つまり、現在の年齢から数えれば約三十年前になるのだった ちなみになぜ今更こんなことを考えるようになったかというと目の前にある机の上に置かれてあった物を見つけたからに他ならない その机の上には白いチョークが置かれておりそこに黒い文字でこう書かれていた 【本日より授業は五時間目から始まります。
一限目は英語ですので準備をしてください。
あと教室はC棟1階の303号室になりますので間違えないように注意してください】
と書いてありそれを読んだことで沙世子はそのことに気がついたのである その文章の下に視線を移して更にその下に書いてあったことを沙世子は読み取ったのだ 【2-Bは先日から生徒指導のため、AとBに分かれて別々の場所にいます。
よって、今日よりクラス分けも変更しています。
詳しくは配布されている冊子を読んでください】
という文が記されていた のだった 
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