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たどん王国の激ひみつ【完結】

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ミステリー小説の主人公

 
前書き
「氷菓」というミステリー小説の主人公が、夢から覚めたような表情で語った。少女は「もういいですから、泣かないでください」と話し、涙を流した。少女は「本当に許してくれる?絶対?約束できる?」と問いかけていた。 

 
飼っていたイルカが死んだので総合感冒薬で治そうと思った。
だが、どうにも上手くいかない。それどころかどんどん悪くなる。
どうすれば良い? →どうもしない 諦める 医者に行く(救急)
→イルカのことは忘れて小説執筆に励む 諦める→医者へ。
ロキソニン三錠を処方してもらった。………………。………………。……。……あれっ!?
「なんともない」
効いた! まさかの一発解決。ロキソニン最強伝説の始まりだった。
いやあ、凄いよロキソニンは。流石だ。
何だか眠くなってきた。すると枕元にイルカが立った。「この野郎!俺を見殺しにしやがって!酷い飼い主だ」
と言っているような気がした。イルカには申し訳ないと思う。でも、仕方なかったんだ。僕は小説家になりたかった。イルカなんて構ってられなかったんだ……
目が覚めた。時刻はまだ朝の五時だった。夢オチである。寝汗が凄かった。でね、聞いてくれる?この前、流れ星を見たの。
この町で見る初めての流れ星。
そのときね、これを誰かに伝えたいなぁと思って…。
そこで、ぱっと浮かんだのが、玲、あなたの顔だったのよ。
いつか一緒に見てみたいね            沙世子」

潮田玲は夢見るような表情で窓の外に視線を上げた。
「ほんと、一緒に見られるといいよね」と、一度両手で顔を拭った後、一転して夢から覚めたように、「って一体どういうつもり?こっちから返事のメール出しても梨のつぶてだしさ」と急にひとりで毒づきはじめた。

「ねぇ、きいてるの?
この間、ほうき星をみたの。
この太陽系で初めて見るほうき星。
そのときにね、この気持ちを誰かとで、ぱっと思い浮かんだのが、ソニア、あなたの顔だったのよ。
いつか一緒にみようね。
・・・ねぇーーー・・・・・」
サンダーソニアは夢見る表情で、窓の外を見つめた。
「えぇ……そうですね……」と、一度両手で顔を拭った後、一転夢から覚めたように、「って一体どういうつもりですか?」と急に声を荒げた。
「だって、こういうことって、もう二度とないかもしれないじゃないですか! だから、どうしても、誰かに伝えたくて!」
彼女は夢から覚めたような顔で、私を睨むと、「わかりました。
では、こうしましょう。
私が今から言うことに、必ず答えてください。
いいですね?」と言った。
「まず一つ目です。
私のフルネームを教えます。
いいですね?」私は黙ってうなずいた。
「二つ目は、その人に告白して振られたら、その時はその時に考えましょう。
どうせ、こんなことを言ったところで何も変わりませんから。
それじゃあ、行きますよ」
彼女の口元が小さく動く。
「私の名前は、花野井玲奈。
そして、あなたの名前は、水無月沙世子。
さぁ、これで満足でしょう?」
彼女がそう言い終わったとき、ふいに部屋の扉が開いた。
「何やってんのあんたら?」
入ってきたのは、眼鏡をかけたショートヘアの少女だった。
少女の名は花野井杏子。
私たちと同じ文芸部の部員である。
「なんでもありません」
「そっか」と言いながら、彼女は鞄を床に置くと、そのままベッドに飛び込んだ。
「ちょっと、ここで寝ないでください」
「大丈夫だよ。
いつものことじゃん」
確かにそうだけれども……。
「それよりさ、なんか面白い話ないの?」
「ありますけど……」
「あるのかよ!?︎」
思わず突っ込んでしまった。
「でも、なんでそんなに食いつくんですか?」
「別にそういうわけじゃないんだけど、ちょっと気になって……」
サンダーソニアが首を傾げる。
「サンダーソニアさん、知らない人がいるときは喋らないんじゃなかったでしたっけ?」
「いいのいいの、こいつは」
サンダーソニアは少し考えた後、「まぁいいでしょう。
それで、どんな内容なんです?」と尋ねた。
「それは……」とそこまで言って言葉が止まる。
「それは?」
「いや、やっぱりダメですよ。
これは誰にも言っちゃいけないことなのです」
サンダーソニアが眉間にシワを寄せてため息をつく。
「あのねぇ、もう十分遅いんですよ? それに私の名前を知ってる時点でアウトです」
私は観念して話すことにした。
「わかったわよ。
話すわよ」
サンダーソニアは腕を組んでこちらを見る。
「実はね、うちの家って結構お金があるのよ」
「知っています」と即座に返される。
「だからね、昔から色々なところに旅行に行ったりしていたのだけど、ある時、お父さんの仕事の都合で海外に行くことになったの。
そこがどこの国かは覚えていないのだけれど、とにかく凄く暑かったことはよく覚えているわ。
……それで、飛行機に乗っている間ずっと暇だったから本を読んでいたの。
確かタイトルは『氷菓』っていうミステリー小説だったと思うわ。
内容は、とある高校の古典部という部活に所属する二人の男子生徒が、謎に挑むというものだったはずよ。
……で、この二人がまた変わっていてね。
主人公の方は、普通の男の子なのに何故か女装しているのよ。
しかも、かなり可愛い感じで。
だから最初は驚いたものよ。
……あとはそうねぇ、その主人公には好きな人が居たみたいなんだけど、その人のことがとても嫌いらしいのよね。
その理由がわからないから、色々と考えちゃって、結局最後は二人とも死んじゃうのよ。
……えっと、ごめんなさい。
話が脱線しすぎてしまったみたいだわ。
つまり、言いたいのは、その本の内容が面白かったということだけなのだけど……。
どうかしら?」
サンダーソニアは大きく深呼吸すると、ゆっくりと口を開いた。
「あなたは一体何を言っているんですか?」…………。
沈黙が流れる。
しばらく経って、ようやく理解することが出来た。
サンダーソニアはわぁわぁ泣き出した。
「話がつまらなくてごめんなさい。
帰国子女なので日本の笑いのツボがわからなくて。
えーん」
と、まるで子供のように泣いていた。
「もういいですから、泣かないでください」
「ほんとうに?本当に許してくれる?絶対?約束できる?」
「はい」と答えると、サンダーソニアは急に真顔になった。
「じゃあ、私もあなたに一つ質問をしてもいいかしら?」
「はい」と答えたものの、一体どんな質問をされるのかと不安になる。
「あなたは今、幸せですか?」
「へっ?」と素っ頓狂な声が出た。
「あなたにとって、今の生活はとても幸せなことだと思いますか?」
「どうしたの?急に?」
「いえ、ただ聞いてみたくなっただけです」
「まぁ、そうね。
少なくとも不幸ではないかな?普通に学校に通えてるわけだし」
「そうですか。
なら良かった」「何?心配してくれてたの?」
「さぁ?どうでしょうかね?」
彼女は窓の外を見つめながら微笑んだ。
「それより、そろそろ帰った方がいいのではないですか?」
言われて時計を見ると、時刻は19時30分を回っていた。
「あら、もうこんな時間?」
「えぇ、あまり遅くなると親御さんも心配しますよ?」
「そうね。
それじゃあ、お先に失礼するわ」
「えぇ、また明日」
「えぇ、またね」と小さく手を振った後、私は文芸部の扉を閉めた。
廊下に出ると、むあっとした空気に包まれた。
今日は特に暑い。
教室に鞄を取りに戻り、そのまま昇降口へと向かう。 
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