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ハッピークローバー

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第六十七話 阪神の勝利を聞いてその六

「圧倒的な」
「弱いチームになったの」
「しかもずっと球界の盟主だってね」
「今も言ってるわね」
「それでふんぞり返っていて」
 この妄執に囚われていてというのだ。
「もうね」
「変わろうって意識もないの」
「あそこフロントが異常に強いけれど」
 やたらとチーム内のことに口出しすることも伝統である、現場のそれにだ。
「フロントがずっとね」
「変わらないのね」
「だからなのよ」
「さらに弱くなったのね」
「フロントがもうチームの細かいことに口出しもするから」
 チームに問題があるだけでなくというのだ。
「変わることもないのよ」
「成程ね、弱いチームの条件全部揃えてるのね」
「そうなの、巨人は」
「麻雀で言うなら数え役満ね」
 中国から来た娘は笑ってこうも言った。
「要するに」
「そうそう、それよ」
 富美子はその通りだと即座に返した。
「今の巨人は」
「やっぱりそうなのね」
「私麻雀知らないけれど」
 それでもというのだ。
「言うならね」
「数え役満ね」
「それよ」
「そうなのね、しかしあんた麻雀知らないの」
「やったことないわ」
 富美子ははっきりと答えた。
「実はね」
「お家にもないの」
「ないわ、それで家族の誰もね」
「しないのね」
「そうなの、親戚でもね」
「中国も減ってるかしら」
 中国から来た娘は自国の話をここでもした、尚二十一世紀に入ってから中国ではスマホ等のゲームが人気である。
「そういえば」
「本場でもなの」
「そんな気がするわ」
「そうなのね」
「かく言う私もね」
 自分もというのだ。
「麻雀しないし」
「じゃあスマホとかの」
「そっちのゲームしてるわ」
「やっぱりそっちね」
「子供の頃お祖父ちゃんに教えてもらったけれど」
 それでもというのだ。
「ずっとね」
「してないのね」
「そうなの、麻雀よりもね」
「他のことするのね」
「昔の中国ではね」
 それこそという言葉だった。
「麻雀と紅楼夢と阿片はね」
「最後駄目でしょ」
「けれどこの三つのせいでね」
 富美子に牡蠣の天麩羅を食べつつ話した。
「発展しないとかね」
「言われてたの」
「そうだったの」
「そこまで麻雀やってたのね」
「皆ね、まあ紅楼夢はね」
 この物語の話もしたのだった。
「そこまで皆読んでたかっていうと」
「違うの」
「私読んだことないしね」
「ないの」
「武侠もの好きで恋愛ものも読むけれど」
 小説をというのだ。 
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