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博麗神社が幻想郷入り【完結】

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「この世界を外から隔離するためだ」

「この世界を外から隔離するためだ」
「何だって?」
「いいか、よく聞け。この世界は外の世界と繋がっている。もし仮にこの世界に何か異変が起きた場合、外の世界の人間がこの世界に入ってくる可能性があるのだ」
「え?じゃあ私と魔理沙は……」
「そうだ。この世界で何かが起きれば、それはすぐに外の世界に伝わってしまう」
「でも私達には関係無いじゃない」
「いいや、あるぞ。この世界が壊れたら外の人間は誰もこの世界に来ることが出来なくなる」
「じゃあ私たちがこの世界から出ていったら、外の人たちが危ないんじゃ」
「そういうことになるな」
「なら、早く帰らないと!!」
美奈は慌てたが、それを制止したのは魔理沙だった。
「待て、落ち着け。ここは幻想郷だ。幻想郷でなら、たとえどんな事が起こっても外には一切影響は出ない」
「え?」
「だから、安心しろ。お前の居るべき場所はここなんだ」
「そう、なの?」
「ああ、そうだよ」「魔理沙がそう言うなら信じるわ」
「それでは、これで話は終わりね」
「まだだ。最後に一つだけ聞かせろ」
「何?」
「何で美奈を騙して連れてきた?」
「……何のことかしら?」
「とぼけるな。美奈が言ってただろ?霊夢に会いたいと」
「……それがどうかしたの?」
「お前は美奈の願いを叶えただけだと言うつもりか?」
「もちろん、その通りよ」
「ふざけるな!!何が目的なんだ!?」
「……別に何も」
「……なんだと」
「私は、小暮美奈の本当の望みを教えてあげただけ」
「それが、これだと」
「そうよ」
「……っ」
魔理沙は怒りに満ちた目を向けるが、紫は涼しげな態度でそれを受け流した。
そんな時、霊夢が静かに口を開いた。
「……魔理沙、もういいわ。ありがとう。でも、私は帰りたいの。お願い……私を助けてくれないかしら?」
「霊夢……分かった。一緒に行こうぜ」
魔理沙は微笑みながら手を差し伸べた。しかし、その手を取ろうとはしなかった。
「魔理沙、私は一人でも行くわ。だから先に帰ってちょうだい」
霊夢は笑顔で言うと、一人神社を出て行ってしまった。
残された者たちはしばらくの間、呆然と立ち尽くしていた。
霊夢は森の中を歩いていた。しかし一向に森を抜ける様子は無い。
その時だった。
後ろから足音が聞こえてくる。誰か来たようだ。しかし、振り向いても誰もいなかった。気のせいだったのかな?霊夢は歩き出そうとしたが、今度は前方から別の音が聞こえてきた。
霊夢は再び振り返ったが、やはりそこには誰もいない。しかし今度は前方の地面から小さな光が現れた。
やがて光が消え、中から現れたのは妖精だった。霊夢はその姿に見覚えがあった。
「あなたは、いつも神社の縁側でお茶を飲んでいる子よね」
霊夢は優しく問いかけるが、妖精は何も答えずに飛び去ってしまう。追いかけようとしたが、目の前の地面に再び光が灯る。今度こそ現れるのだろうと警戒していたが、そこから出てきたのは全く予想していない人物だった。
「あれ……ここはどこだぜ?」
霧雨魔理沙は周りを見渡した後、霊夢に気づくと目を丸くする。
どうしてこんなところに魔理沙がいるのか不思議だったが、今は考えている暇はない。
魔理沙が近くにいることで先ほどの妖精は姿を現さないのではないかと考えた霊夢は、すぐさま駆け寄って声をかけた。
しかし、反応がない。もう一度声をかけてみたが、魔理沙の目は虚ろで意識があるのかさえ怪しかった。霊夢は仕方なく魔理沙を背負い、その場を離れることにする。 
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