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博麗神社が幻想郷入り【完結】

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「私は八雲紫様に仕える式神の一人だ」

 
前書き
魔理沙が神社に通い詰めた際、見知らぬ女に霊夢が声をかけた。女は「私は八雲紫様に仕える式神の一人だ」と話し、魔理沙に抱き寄せた。魔理沙は「美奈......お前......」と語り、魔理沙の目からも涙が溢れ出した。
 

 
魔理沙に言われた通り神社に来たものの、そこにいたのは見知らぬ女の子だった。その日から、神社へ通い詰めることにした。しかし一向に霊夢が現れる気配はない。魔理沙が言うには博麗神社は忘れられるたびに寂れていっているという。ならば霊夢が忘れ去られるまえにもう一度思い出させればいいのではないかと考えた。そこで魔理沙に頼んで、皆でゲームをして遊んだり、お祭りを開いてみたりした。しかし、なかなかうまくいかない。そんな中、魔理沙が家出をした。魔理沙を追いかけて幻想郷へ向かったけど、霊夢の手がかりは掴めずじまいだった。仕方なく、幻想郷でしばらく過ごすことになった。
幻想郷での暮らしはとても楽しかった。友達もたくさん出来た。しかし、いつまでもこのままではいけないと私は思う。幻想郷で暮らすのもいいけどやっぱり私は霊夢を探しに行きたいと思う。でも魔理沙に反対された。それでも食い下がると、ついに折れて私と一緒に探すと言ってくれた。でも、私のせいで魔理沙が死んでしまうかもしれない。それに魔理沙と二人きりの生活は辛かったから、ちょうど良かったと思う。魔理沙との別れは本当に辛いものだった。でも、またいつか必ず会えると信じている。だから今は我慢しようと思う。

***
美奈が語り終えると、あたりはしんと静まり返ってしまった。
美奈が語った内容は衝撃的ではあったが、どこか嘘臭いように感じられた。だからだろうか、美奈の話を信じようとしない者がほとんどであった。
ただ一人を除いて。
「美奈……お前……」
美奈の話を聞いた魔理沙は今にも泣き出しそうな顔で美奈に歩み寄ると、そっと抱き寄せた。「美奈……お前は……お前ってやつは……」
「魔理沙……」
美奈の目からも涙が溢れ出した。
「美奈……寂しい思いをさせてすまなかったな」
「魔理沙……私はもう大丈夫よ。魔理沙がいてくれるから」
二人はお互いの体を抱きしめ合うと、声を上げて泣いた。その様子を見て他の者たちは何も言えずに黙って見守るしかなかった。
***
「さて、感動の再会も済ませたところで本題に入りましょうか」
紫は仕切り直すようにして話を始めた。
「えっと、確か私をここに呼んだ理由を聞こうと思ったんだけど」
「そうよ。私も聞きたかったわ」
霊夢の言葉に反応したのは、いつの間にか現れた紫ではなかったもう一人の人物だった。
「誰だ?あんた」
霊夢の質問に対し、「八雲藍だ」と名乗るとその者は人差し指を一本立てて説明し始めた。
「私は八雲紫様に仕える式神の一人だ」
「式は分かるけど、その『仕える』っていうのは何よ」
「分かりやすく言えば、紫様に忠誠を誓っているということだ」
「ふーん……それで?そんな偉い人がどうしてここにいるわけ?」
霊夢は興味なさげにそう訊ねると、藍は少し間をあけてから答えた。
「実は……ここだけの話だが、霊夢と魔理沙の二人がいなくなったせいで幻想郷は大変なことになっている」
「……どういうことよ?」
「つまりだな……霊夢たちがいないせいで幻想郷のバランスが崩れてしまったのだ」
「バランス?」
「ああ。簡単に説明すると、例えば妖怪の数が増えすぎたとする。するとどうなる?」
「どうなるって……」
「妖怪たちはお互いに殺し合いを始めるだろう」
「まあ、そうでしょうね」
「そうなれば、人間たちにとって非常に困った事態になる」
「そうね」
「だから私たちは幻想郷を守るために奔走していたのだが……」
「ちょっと待て。じゃあ何で幻想郷は滅茶苦茶になってないんだよ」
「それは……」
「それは私が結界を張って守っていたからだ」
「何のために?」 
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